演劇人にインタビュー 頭を下げれば大丈夫

中谷 和代

演出家。劇作家。ワークショップデザイナー

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ソノノチ「2人の『つながせのひび』」2016/12/14~25@gallerymake[つくるビル]

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今日はどうぞ、よろしくお願いします。中谷和代さんにもう一度、お話を伺います。最近、中谷さんはいかがでしょうか。
中谷 
8年ぶりなんですよね!懐かしい。よろしくお願いします。最近は次回公演の稽古ですね。6月から10月まで、「東アジア文化都市2016奈良市」の野外舞台公演に関わっていて、やっと11月から稽古の方にシフトし始めたという感じです。今回はダブルキャストなので2チームの稽古をしていまして、毎日のように稽古しています。
__ 
ダブルキャストとは、もしかしてセリフも違うんですか?
中谷 
セリフも違いますし、あと演出も違います。一旦演出のベースを作って、後は役者さんの身体とかセリフの言い方に合わせて変えましょうかみたいな感じです。手触りの違う作品が二つ出来上がってきています。
__ 
演劇以外では、どんな感じですか?
中谷 
去年の年末に結婚しました。それが環境的な一番大きな変化かな。あと今年に入ってからは、自分の劇団で色々お仕事をさせていただく機会が増えました。仕事以外だと、数年前までは自分の好きなこととか趣味みたいなことに時間を使って没頭していたりしたんですけど、結婚したりすると家族のこととか身の回りのこととか、そういう事にあてる時間が色々増えました。あとは、簿記の資格をとりたくて、ゆっくりとですが勉強をはじめました。
ソノノチ

2013年1月より活動を開始。舞台芸術に携わることを職能としている、もしくはそれを目指すメンバーを中心とし、継続的な活動を目指している。ユニット名は、「その後(のち)、観た人を幸せな心地にする作品をつくる」という創作のコンセプトにちなんでおり、フェミニンでファンタジックな「おとぎ話」の中のような会話劇を、細部までこだわったアートディレクション(美術・衣装・広報物)でかたちにしていく。また、第一回公演からこれまで、すべての作品で、物語が繋がっているのも特徴のひとつ。現在は、物販部「ソノノチノチ」によるアートフリマなどでのグッズ販売など、舞台活動以外でも展開を見せている。(公式サイトより)

ソノノチ2016 『絵本から演劇をつくる』プロジェクト 2人の「つながせのひび」

京都の劇団ソノノチとイラストレーターの森岡りえ子が、オリジナルの絵本と、それを原作とした舞台作品をつくります。「大切な人へと受け継がれていく気持ち」をテーマに、”ひびちゃん”と”つきちゃん”の生活を、優しいまなざしで描きます。 庭の植物に水をあげたり、二人してタオルケットにくるまったり いなくなった猫を探したり、わらって ないて ころげたり… 観客もこの世界の住人のひとりとして、観ていただけたらと思います。 【日程】 2016年12月14日(水)~25日(日) (月曜休館/延べ11日間 全17ステージ)《各回10席限定》 ※期間中、舞台美術にもなる絵画の展示を同時開催しています。 【会場】 gallery make[つくるビル] (京都市下京区五条通新町北西角 つくるビル1F 104号室) アクセス:地下鉄「五条駅」2番出口より徒歩5分 【出演】 藤原美保(ソノノチ) 芦谷康介、豊島祐貴(プロトテアトル)《ダブルキャスト》 ここに注目! 1)舞台の上演と絵の展示を同時に開催します。 →森岡りえ子さんの絵画展示は、開廊時間及び、各ステージ終演後にご覧いただけます。また、舞台上演のなかでは、絵画そのものが舞台美術として使われます。絵の世界と劇空間が、空間的にも融合している様子を、ぜひ体感してみてください。 森岡りえ子さんWebサイト:http://riekomorioka.jimdo.com/ 2)数量限定の絵本付きチケットを発売します。 →観劇チケットと上演作品の原作となる絵本がセットになった、お得なチケットです。(絵本は少部数のみの発行で、数量限定商品です。) 【スタッフ】 企画・製作:ソノノチ 宣伝美術:ほっかいゆrゐこ ユーティリティ:脇田 友 演出補佐:外谷美沙子 楽曲提供:いちろー(廃墟文藝部) 制作:渡邉裕史 制作補佐:溝端友香 物販協力:のちノのち、森岡ふみ子 共催:NPO法人フリンジシアタープロジェクト made in KAIKA 平成28年度京都府文化力チャレンジ事業 京都芸術センター制作支援事業

上演の可能性

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次の作品「二人のつながせのひび」では、演劇の上演と絵画の展示を同時にするとのことですが、それはマジですか。
中谷 
はい、マジです(笑う)絵画の展示をしている前で上演をするということではなくて、絵画の展示そのものが舞台美術であり、小道具になっているんです。
__ 
ああ、展示室でのお話というシチュエーションなんですね。どのような思惑があるのでしょうか。
中谷 
今回、絵の担当をしていただく森岡りえ子さんと私は、大学から10年来の付き合いがあるんですが、私は当時メディアアート専攻、彼女は洋画クラスでした。卒業してからこれまで、公私ともに仲良くさせてもらって、私自身が彼女の絵のファンであることもあって、劇団としても何度もチラシや物販グッズの絵をお願いしたりしていたんですが、今回は関わり合い方がかなり違うんです。というのは、これまでは台本ありき=私が作った世界がはじめにあり、そこに合わせて絵を描いてもらっていたんですが、もう少し踏み込んで「一緒につくる」という事をやってみないか、と。彼女は私の文章にインスピレーションを受けて描くし、私も彼女の絵に触発されるように推敲を重ねました。つまり、絵のために文章を書くわけではなく、文章のために絵を描くわけでもなく、お互いが自分のやりたいことをしっかりやった上で共存したらどんな形になるだろう、と。絵とお芝居、二つのちがった媒体をコラボさせるという試みなんです。勿論お互いにとってチャレンジだったので、半年くらいずっとああでもないこうでもないと議論し、今回の企画になりました。会場を劇場ではなく展示スペースにしたのも、不思議な観劇体験を演出するための1つの工夫です。
__ 
具体的な場所でのお話になるんですね。
中谷 
絵の仕事に携わっている夫婦が、家の中に小さなアトリエスペースを持っていて、でもそこを引っ越すということになったんですね。その前夜の話なんです。
__ 
不思議な観劇体験とは。
中谷 
ストーリーはありますが、インスタレーション(空間芸術)に近いです。空間そのものを体感してもらうような。少し覗き見感もあるし、展示室でもありながら夫婦二人の部屋でもある。お客さんとの距離が近い空間ですので、役者さんは少しいつもと違う苦労をしていると思いますね。
__ 
今回の上演には、原作の絵本があるんですよね。
中谷 
そうなんです。登場人物の「ひびちゃん」と「つきちゃん」、この二人はなかなか会えない、入れ違いの生活をしている。で、それを通じて、どうやったら2人で一緒にいられるかということを考えていくというお話です。お芝居の中にもこの二人が出てきますが、彼らは夫婦とか恋人に見えたり、親友や兄妹に見えたりするかもしれません。二人が実際にはどういう関係でも、見る人自身の大事な人のことを考えながら、観てもらえたらいいなと思ってます。
__ 
会場はつくるビルですね。製作をしている人たちが集まって展示と販売をしていますからね。ビル丸ごと。
中谷 
はい、できた当初からずっと気になっていました。よくよく考えたら、私達もほとんど芸術系の学校を出たメンバーで構成されているので、クリエイターさんが沢山いらっしゃるつくるビルとはきっと相性が良いと思います。この施設の空間がどんなふうにソノノチを受け入れてくれるのか、搬入が楽しみです。

ソノノチのこれまでとこれから

6人の「これからの宇(そら)」
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ソノノチの作品はどこかを境にちょっと変わっていると思うんですよね。以前の作品は、作家が自分の世界を実現しようとして、だからどこか、手触りとしては閉じていた印象があった。でも去年の6人の「これからの宇(そら)」 は物語の外の方に広がっていく感じがあったんです。観客の力をより信じてるような、そんな印象がありました。2人の「つながせのひび」ではどちらなのかなと。
中谷 
「これからの宇(そら)」の方向に近いと思います。私自身が作品を作るときに、以前は自分の言葉・世界を提示するという姿勢で作っていたんですね。私にとって表現ということがそもそも、「自分には世界がこういう風に見えている」と表現するための行動だったんです。だから、オープンに誰かとコミュニケートしたい、対話したいという事とはちょっと違う。それを閉じた手触り、と仰っていただいたのかと思います。閉じているからこそより混じりけのないものが作れたり、人の意見に左右されないというか、そういう姿勢が、ファンタジーというかこの世にないものを作るということに対して必要なのではないかと、当時は思っていたんです。でも生活環境の変化や、プライベートな家族のこととか仕事のこととか、そういう状況の変化があって、「これからの宇(そら)」では、自分が日常で体験したこと・誰かと会って実際に思ったこと、を戯曲に書いたんです。自分の心の声を拾いあげる姿勢から、実体験や他人との関係の中での思いを拾い上げる姿勢にシフトして、作品についての考え方が変わってきたタイミングだったと思います。
__ 
やり方が変わったんですね。
中谷 
眺め方が変わったんだと思います世界の。意識的に変えましたし、私自身が思う面白い演劇の姿が変わったんだと思います。言葉の裏にある心情を深く考えたり、日常にあったことを大切に捉えるとか、そういうものを観客として好むようになってきていて。数年前は正直、そういう舞台が好きじゃなかったんですけど。日常ってわざわざ劇でやらなくてもいいじゃないか、と当時は思ってたんですね。今は、日々を俳優さんの演技を通して見つめ直す。それは自分にとってとても癒される、自分の生活を振り返るいいタイミングだったんだ。そう思うように変わってきたと思います。自分の作品も、色んな人の視点を取り入れつつ、受け取り側の心の機微に触れられるようなそんな作品を作りたいなと思うようになってきたと思うんです。2人の「つながせのひび」も、最初は何気ない生活の風景から始まります。でも途中には、やっぱり譲れないファンタジーの世界もあったりします。そこはソノノチの代名詞みたいなところだと思っているし、私たちじゃないとできない表現に自負があります。
__ 
そこはもちろん、味ですからね。やめるやめないの話じゃないでしょう。
中谷 
今回の公演は、その両方を味わってもらえる作品になると思います。
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作り手とその作品には経緯がある。けれどもお客さんにはそれは分からないから、観たうえでまったく違った知見を持って評論しますね。それらが交差する様が面白いですよね。
中谷 
前回のインタビューでは言ってなかったと思うんですけど、風景みたいな演劇が作りたいと思ってます。公園を散歩していて、木々の紅葉が綺麗だなと思う人もいれば、子供が遊んでいる様が良いという人もいるし。ひとつの絵の中に色々な捉えどころがあって、主人公の物語をひたすら追いかけていうのではなく、例えば全体をボーッと眺めてもいいし、何かひとついいなと思った事をずっと眺めて追いかけていてもいいというような。私たちは毎回、美術やチラシ、衣装などをかなり作りこんで世界を表現するという手法をとっているのですが、これはいろんなところに焦点が与えられる作品が作りたいと考えているからなんですね。
6人の「これからの宇(そら)」

公演時期:2015/10/2~5(京都)、2015/10/17~18(愛知)。会場:スペース・イサン(京都)、NAVI LOFT(愛知)。

重なり合うことについて

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勝手ながらソノノチには、クロスジャンルをするというイメージがあります。製作において他のジャンルの方と複合をする。今回の2人の「つながせのひび」でも画家の方とそういう製作をされますし。そこで伺いたいのですが、演劇の製作において、何が複合の価値だと思いますか?
中谷 
お互いの痒いところに手が届く可能性の高い方法だと私は思っています。最近お仕事で、舞台芸術ではないジャンルの、企業の方とか教育現場の方とか、いろんな立場でいろんな課題にチャレンジしている人と一緒に何かさせてもらうということが増えまして。その時に私たちにとっては何ともなかったことが、その人たちにとっては大きな価値だということが何度もありました。例えば何かを演じてやってみせたりすることで、説明するよりも伝わりやすかったり。「そうなんです!そういうお客さん本当によくいるんですよ」、みたいな。簡単なロールプレイであっても、他ジャンルの人にとっては結構びっくりな事。その逆は私たちにも当然ある。互いの課題は全然違うんですけれども、でも解決する方法は何かに似てたり。そんなところが刺激的で、可能性を感じてしまって、あえて他ジャンルの人と一緒にやりたいという気持ちが強くなっていて。でもそれって、ここまでのお話をひっくり返すようですけどめちゃくちゃむずかしいことなんですね。全然違う価値観と経験を持った人が、フラットな立場で同じ関わり方で作るということはとても難しいことで。
__ 
そうですね。
中谷 
過去の作品づくりでも沢山経験したのですが、やっぱり難しいんですよ、そもそも無理かもしれないぐらい。お互いがやろうと思ったら、本当に技術を突き詰めて、100%信頼し合って。それぐらいの覚悟がないといけない。己の道を突き進んだ結果一緒にやっていた、ぐらいの・・・そんな事は起こりえないんじゃないかというぐらい難しいことなんですよ。だからクロスジャンルはやっている人自体が少なかったり、でも新しい価値が生まれる可能性の芽がたくさんあって。一番難しいけど一番届きたいところですね。今回も、アフタートークではあえて演劇以外の分野で活動されている方をお招きしています。手法が違う人たち同士で、作品世界へのアプローチの仕方を考えてみよう、じゃないですけど。この作品をたたき台に話せればいいなと思っています。

質問 楳山 蓮さんから 中谷 和代さんへ

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前回インタビューさせて頂いた、楳山蓮さんから質問を頂いてきております。「小さい頃にやっていた遊びは何ですか」。
中谷 
いっぱいあります。一人遊びが得意だったので。未だにあの頃よくあの遊びをやれていたなというものがいっぱいありますよ。例えば小学校の頃、図書館をやっていたんですよ。最初は紙を小さく切って、ホッチキスでまとめた豆本に漫画を色々書いていたんです。何かリクエストがあったらコメディやら長編やらなんでも書いて、その内クラスメイトを主人公に漫画を書いたりして。で、その本が溜まってきて。今度は画用紙で本棚を作って、貸します、って。
__ 
図書館ですね。
中谷 
そのうち地域通貨みたいなものを作り始めて。
__ 
ええっ。
中谷 
教室の中だけのお金を作ったんです。500円で5冊借りれます、みたいに。図書館を経営していました。それがやがて、お金でプリペイドカードを買うという仕組みにして。お金だけだといっぱいになったら無くしちゃうからカードにしてみんなが忘れないようにしよう、と。
__ 
それは情報から入っていくタイプの支配ですね。
中谷 
もともと、そこまでする気はなかったんですよ。ただ単に、みんなが面白がってくれればそれで。
__ 
それ、今でも続けていれば京都府くらいなら支配出来てたかもしれませんね。
中谷 
それはどうでしょう、当時はお客さん(クラスメイト)が良かったですからね。とにかく、小さい頃からごっこ遊びが好きで。その頃から演劇っぽいことが好きだったんだと思います。あ、四・五歳ぐらいの時には、町内に落ちている葉っぱとか石を組み合わせて懐石料理を出すみたいな遊びをやっていました。ちょっとおしゃれなお皿に空間を活かして盛り付ける。それを並べて展示したりだとか。
__ 
それは流派ができたりトレンドが出来て・・・
中谷 
ちょっとした披露の場、みたいな感じになってきて。でもそれは二日以内には大抵踏み潰されていて。意図的に壊す人たちがいたんですよ。隠したのに見つけられて潰されて。悔しかったですね。
__ 
しかし、破壊者には破壊者の美学がきっとあったはずです。壊し方、逃げ方、晒し方・・・
中谷 
ええ、あったと思います。その時は本当にショックだったんですけどね。

変わっていく

__ 
いつか、どんな演劇が作れるようになりたいですか。
中谷 
あんまり、一点を目指して、という感覚はありません。移り変わっていくということを、ずっとやっているので。毎年の冬が同じ寒さじゃないように、春が来る日が毎年違うように作品を作っているので。こうしたら終わりみたいなのがないんですね。今のところは、苦しくても辞めたくはない。でも夢としては、傑作というものに憧れているかな。少なくとも誰か一人の人に傑作と言ってもらえて10年覚えてもらえるような。私も小劇場を始める前に見て今でも覚えているものが何本かあるんです。演劇って、残るのは記憶にだけなんですね。ずっと心に残るようなものを作りたいというのはあります。でもその一点だけを目指して、というわけではないです。
__ 
私はむしろ傑作が上演されている時、俳優や観客の身体に一体何が起こっているのか。そこに興味がありますね。日本時間や物語俳優と観客が共有してるんですけれども。で、共有ってそもそも何なんだろう、とか。
中谷 
昔見た京都ロマンポップの作品、「幼稚園演義」のラストのシーンで、客席全体がそれこそ息を飲むような。衝撃で「引く」みたいな瞬間があって。それもひっくるめて結構覚えてるんですけど。それぞれの心のアンテナの反応が集まってうねりになる。そんな感じを今思い出しましたね。
__ 
「幼稚園演義」は傑作でしたね。評判高い作品でしたねあれは。
中谷 
あれが終わって私、ずっと泣いてて。一人で。しばらく席を立てなかった。

模索の時代

中谷 
演劇で何がやりたいのかわからない、模索の時代があったんです。ちょうど初めてインタビューをして頂いた後くらいの頃ですね。そこから10年近く経って、なんとなくですが、自分がなんで演劇をやっているのか、その根本にあることにふと気付いたんです。それは結局、「人は人を想う」ということなんですね。演劇はそれを表現するのにとても向いている。恋だったり気遣ったり妬んだり嫌いだったり、そういうふうに誰かと関係して、誰かの事を常に思って生きている・・・それが人間だし、それを演劇でとらえなきゃ、いうことに気づいたんです。今回はその色が結構濃厚に出ているんじゃないかと思います。そこを見てもらえたら。ちなみに今回、クリスマスに公演をやろうと思ったのも、劇場がデートスポットにならないのかなと思っているからなんです。なぜ多くの人が恋人と映画は見に行くのに、舞台はなかなか見に行かないんだろうなと。1つのものを見ていろいろ話す、そこに流れている時間を一緒に味わうのは、ご飯を食べに行くのと似てるのになと思うんですね。

新しいひび

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今後、どんな感じで攻めて行かれますか。
中谷 
2013年に再旗揚げした時、劇団員は私一人だったんです。一人であっぷあっぷになっていたところだったんですけど、そこに藤原美保という強力な俳優をはじめ、少しずつ劇団員が入ったり固定のメンバーが集まり始めて。団体としても徐々に強固な感じになってきています。そういう意味では新しくできることは増えてきたなと思います。大事なことは守りつつだけど、行ったことがないことにも今後どんどんチャレンジしていきたいですね。今年も初めて稽古場公開をしたり、ワークショップで沢山の方と出会ったり、大阪にも初進出しましたしね。来年4月には音楽祭でパフォーマンスをさせて頂きに滋賀に行くんですけど、もっと他府県にリーチしていけるようにもなりたいです。これからもよろしくお願いします。

alganiiina Organic Hair Milk(洗い流さないトリートメント)

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今日はですね、お話のお礼にプレゼントを持って参りました。
中谷 
うれしー。何だろうこれ。ヘアトリートメント?
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洗い流さないトリートメントですね。ドライヤーで乾かした後に付けるとふんわりとまとまります。パーマを掛けた後の人にはちょうどいいはずです。
中谷 
そうなんですよ、最近パーマを掛けたばかりで、傷みやすいので。ありがとうございます!
(インタビュー終了)