入試シーズンに
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- それでは、今日は宜しくお願いします。
- 小石
- あ、宜しくお願いします。
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- ええと、男肉duSoleilは近畿大学の舞台芸術コースのユニットなんですよね。いつも拝見しております。
- 小石
- ありがとうございます。
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- 小石さんは、いつから男肉に関わっておられるのでしょうか。
- 小石
- 僕はそうですね、ちょうど2年前からになりますね。「男肉終着駅(ピリオド)」という作品があって、その時大学1年だったんですけど、その時に声を掛けて頂きまして。その外部公演を始めた当初から参加しております。
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- そもそも、小石さんが舞台芸術コースに入ったのは何故だったのでしょうか。
- 小石
- 最初は、文学科に入りたかったんですけども、舞台芸術コースの合格点が他に比べて低かった訳ですよ。お、これはと思って受けたら受かってしまって。そこで、もういいやとなって受験を終わったんですね。
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- なるほど。ちなみにどんな試験だったんですか?
- 小石
- 僕はペーパーだけで受けましたね。他の人は即興だとかもやったみたいですが。
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- なるほど。そういえば、今の季節も入試シーズンですね。
- 小石
- そうですね。その時には自分が舞台上でギャーギャー言うようになるとは思っていなかったですけどね。
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- 元々高校で演劇部に入られていたとかではなかったんでしょうか。
- 小石
- 親が劇団四季とか新感線とかが好きで、たまに連れて行ってもらったりしていて、ちょっとは見ていたんですが、やってはいなかったですね。吹奏楽部で太鼓を叩いてました(笑う)。
男肉 du Soleil
パフォーマンスカンパニー、男肉 du Soleil (オニクドソレイユ、と読む)は団長こと池浦さだ夢を中心に結成された団体。(公式サイトより)
男肉 du Soleil公演「男肉終着駅」
公演時期:2005年11月。会場:アートコンプレックス1928。
役者の欲求を抑える
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- 芸術学科の舞台芸術専攻という事ですが、そこでは具体的にどのような内容の授業が行われるのでしょうか。
- 小石
- 僕の一個下から仕組みが変わったので、そっちの方は詳しくは分からないんですが。僕らの代で言うと、劇作・理論コースと演技コースに分かれておりまして。演技コースは実習中心。劇作コースは座学中心、といった感じです。実習だと例えば竹内銃一郎氏であるとか、松本修氏であるとか、そういった素晴らしい演出家の方から指導を受けております。授業の最後に発表という形で学内で公演を打ったりもします。身体表現を学ぶための舞踊の訓練ですとか。座学だと、戯曲の書き方ですとか、演劇史も学びます。
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- そういった、実地的な訓練の中で、一番強烈な体験は何ですか?
- 小石
- どうなんですかね。やっぱり、実習ですかね。一時代を築いた人に演出をして頂けるという。
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- どんなダメ出しが出るんでしょう。
- 小石
- 何ですかね。僕は大学から始めたぐらいだし、他の子も高校からとかですしね。言うたら、僕らなんて先生にしたら素人みたいな。でも、何て言うたらいいのか、ダメ出しされると引き締まるんですよね。
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- 引き締まる。
- 小石
- 演出を受けるのが怖いくらいの。時にはボロクソに言われるんで。
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- それはキツいですね。
- 小石
- でも、しっかりとした実績を持っている方ですので、それを肌で感じる事は有難いです。
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- ご自身もダメ出しを受けて、どんな感じでした?
- 小石
- 「いい台詞」、ってあるじゃないですか。それを情緒的にやりすぎると、逆に言葉の力が薄れてしまうという。役者が、つい気持ちよくウタって言ってしまうセリフを、「そこは淡々と言えばいいんだ」みたいな事を仰られましたね。
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- 役者の欲求を抑える。
- 小石
- どこかで抑えるんですね。まず、体ありきだとか言われました。悲しい気持ちになって悲しい言葉を言うんじゃなくて、悲しい体になったら悲しく見えるんだ、と。実習は、ひたすら衝撃の連続ですね。
凛々しい
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- さて、男肉ですが。先ほどの実技実習のお話とは正反対のマスターベーションというか。非常にワガママな身体性が、私は非常に好きなんですけれども。
- 小石
- ありがとうございます。どうなんですかね。実際、初めて舞台上で何かやったのが「男肉終着駅(ピリオド)」だったんですね。それ以来、やれるだけの事はやるしかないというスタンスが、今までずっと続いているんですが。
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- 非常にこう、小石さんはあれだけの男肉の面々の中で、一際切実な存在感が伝わってきて、見ごたえがあるというか。痛々しいくらいの。
- 小石
- こと男肉に関しては思いっきりやる事にしてますね。例えば、舞台上でしばかれたりとか、つい盛り上がって尋常な威力ではなくなったツッコミのドロップキックとかで受けたダメージをそのまま放出するみたいな。
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- ああ、ありますね。
- 小石
- そういう勢いは大事にしていますね。
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- 確かに、男肉作品には非常に勢いを感じます。今でも街頭パフォーマンスは続けているんですよね。
- 小石
- そうですね。それで本公演に観に来てくれた素敵な方もおりまして。
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- 何か、街頭ってつまりは社会じゃないですか。しかも一番外側の。その中での男肉ってすごい、こう、凛々しいものを感じますね。
天秤
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- 小石さん的に、男肉の弱点みたいなものがあればお聞きしたいのですが。
- 小石
- まあ、男肉の作品作りには台本が無いんですね。あえて言えばそこです。本が無いという事で、言葉を吐く事に対するこだわり、意識が演じる側に薄いというか。
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- ああ、本当に台本は無いそうですね。
- 小石
- 全て稽古場で出てきたものを記憶するんで。本番中でもその瞬間その瞬間のアドリブで作られたりしてるんで、ライブ感なんかは自然と出来上がって、即興能力もついていっていると思うんですけど、逆にみっちり積み上げられないのではないかなあと。最終的にはキッカケも決まって、ある程度ベースは作られるんでなんとかなるんですけども。最後にどんな境地に辿り着くにしても、取捨選択の意識無しに進んでいくのはどうなのかぁと思いますね。
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- 紙に落とされたキッカケ表がないので、一つのパフォーマンスを別の面から見る事が出来ない、という感じですかね。
- 小石
- 言うたらそうですね。セリフの発音にしても、文字にしてみたらブレスの位置とか句読点を自然と整理出来ると思うんですが。演じる側としてそれらをやるにせよ、やっぱりやらないにせよ、一度天秤に掛けてみる価値はあるかと。
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- なるほど。実は、男肉に台本が無いというのを知ったのは精華演劇祭の前夜祭での記者会見だったんです。それを聞いて、ならではのライブ性が何故発生するのかが物凄く納得したんですけども。
納得
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- 役者として、今後こうなっていきたいというのはありますか?
- 小石
- ひたすら体力を使う事ばっかりやっているので、次は知識面での補強が必要かなと思っているんです。あんまり、舞台についてのしっかりした考え方がないんですね。著名な劇作家の戯曲を読むなりして勉強すべきかと思う訳なんですよ。現在の自分に欠けているものは多々あって。とりあえず、まず、自分に対してそれでいいのかと問い続ける姿勢は持ち続けたいと思いますね。
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- 稽古中や本番なども、ご自分への疑いを持っている?
- 小石
- ていうか、疑問しかないですね。自分の演技に、中々納得した事がないので。10の内、1か2か3しか出来てない、みたいな。周りからは自虐的だと言われるんですけど、役者って言われるほど技術も経験もないし、ダンサーでもないですし。
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- あれだけ動ければダンサーと言っても良いような気がしますが。
- 小石
- いや、その先に全然行けないんですよね。ユニゾンも出来ませんし。まあ、男肉がユニゾンを求めるかというとそうでも無いのですが・・・。
柳川のロングTシャツ
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- 今日はお話を伺えたお礼にプレゼントがあります。どうぞ。
- 小石
- あ、ありがとうございます。見ても宜しいですか。
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- はい。
- 小石
- (開ける)
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- Tシャツですね。実はそれは、この間まで精華演劇祭で公演をしていた柳川の受付で買ったものです。Sサイズの割りに大きめみたいですね。
- 小石
- ありがとうございます。