夏に
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- 今日はどうぞ、よろしくお願い致します。中村こず恵さんは最近、どんな感じでしょうか。
- 中村
- よろしくお願いします。最近は、夏にロームシアターでやるユリイカ百貨店のお芝居の練習をしています。
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- 8月の14日・15日の「STAR BOX PRESENT!」 ですね。
- 中村
- 今回も色々な役者さんが出るので、バラエティ溢れる感じで、濃いです。初共演の方が多いんですけど、いま既に面白いです。
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- 去年までは劇場ツアー形式でしたが、お子さんが非常に楽しまれていますよね。もうみんな、はしゃいでて。
- 中村
- 去年までは人数の都合上、予約制だったんですが、今回はサウスホールなので定員は一応700人くらいかと。
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- これまでのユリイカの劇場ツアーは一回の公演で30〜50人が定員でしたからね。
- 中村
- 稽古がまだ始まったばっかりで、全貌はまだ私にもわからないんですが、面白くなりそうです。45分間のそんなに長くない上演時間なので、お子さん連れでも見やすいと思います。事前に舞台美術家の柴田隆弘さんが子供たちと一緒に舞台のセットの一部を作るというワークショップがあって。それも使いつつ、パーティーみたいな感じかもしれません。
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- パーティー。
- 中村
- たみおさんは、お客さんと一緒に盛り上がれる、ライブ感を大事にしたいと言っていました。
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- きっとこういう空間になるんだろうなあ、みたいなのが、頭の中に浮かんできました。それもきっと全部裏切られると思うんですけど。ユリイカ百貨店だから。
プレイ!シアター in Summer 2018 ユリイカ百貨店の「STAR BOX PRESENT!」
プレイ!シアター恒例のユリイカ百貨店による劇場案内が、こんどは45分間のお芝居になって帰ってきます。おなじみのかわいい姉妹の案内人“シアター・アテンダント”や楽しい仲間たちがたくさん登場! 今回のテーマは“プレゼント”。大好きなあの人にプレゼントを贈る素敵な瞬間をみんなでつくろう!舞台づくりのプロと一緒にプレゼントをつくる事前ワークショップもあります。 8/14(火)13:00-13:45 16:00-16:45 8/15(水)10:00-10:45 14:00-14:45 会場/ロームシアター京都 サウスホール <無料・申込不要・全席自由・年齢制限なし> 【Staff】 演出助手/入江拓郎、蘭智咲 美術/ 村山早咲 美術監修・ワークショップ講師/柴田隆弘 音楽/gapuda、ウミネコ楽団 振り付け/大熊隆太郎(壱劇屋)、宇野愛生 衣装部 /エスモードジャポン 京都校 http://www.esmodjapon.co.jp (中筋眞基、與儀亘、長江舞美、カンラスニカネリー、島村泰生) お手伝いさん /たみー、ニシムラヨシコ、北川雄子 制作/植村純子、西井桃子、ロームシアター京都管理課(小倉由佳子、松本花音) 舞台技術/ロームシアター京都舞台技術課 【Cast】 アテンダント姉妹 /山岡美穂、松田ちはる レディプレゼント/中村こず恵 ミスタープレゼント/ボブ・マーサム オッディ/高阪 勝之 ボーイ /まえかつと(コトリ会議) ガール/菊地原幸歩 シンガープレゼント/inori ダンサー/宇野愛生、野田まどか ギラギラケモノ/杉本昂太 星くん voice act/ほのか プレゼントチルドレン /りいこ 他3名 ウミネコ楽団 他
質問 井上向日葵さんから 中村 こず恵さんへ
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- 前回インタビューさせていただいた、京都造形大在学中の井上向日葵さんからです。
- 中村
- ああ、向日葵ちゃん。共演したことがあります。
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- 「昔と今ではどんな変化がありますか?」まあつまりそれは、お子さんを持ってから、役者としてどう変わったのかみたいなことだと思うんですが。
- 中村
- うーん。夜の稽古に気軽に行けなくなった。
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- ああ、そうですよね。
- 中村
- 気持ちの面での変化?内面的にそれほど変わっていない気がするけどどうなのかなあ。昔は本当に、芝居のことしかしてなかったけど、今は他にも色々やってるので、色々と考えないといけなくなったことが増えたという感じ。ただ、お芝居に関してはそんなに変わっていないと思う。
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- 変わっていないというのは素晴らしいですね。
- 中村
- 変わってるのかもしれないですけど。どうなんですかね。
質問 中野守さんから 中村 こず恵さんへ
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- 前々回インタビューさせていただいた、中野守さんから質問を頂いてきております。「自分の家族に演劇活動を認めてもらうためのコツはありますか?」
- 中村
- うちは最初から認めてもらってました。そうですね、父も昔から、今もですけど、バンドをやっていて。祖父もプロのアコーディオン弾きだったんです。私は中学から演劇をやってるんですけど、普通に見に来てくれていました。大学の時はやめてたんですけど、4回生から再開して。就職もせず演劇をやるわ、となった時に両親は、「元気でいてくれるなら何でもいいよ」と言ってくれました。夫も、女の人は好きなことをしたらいいよ、と。割と、理解してくれる人に恵まれているので、全然参考にならないかも。環境に恵まれてて。
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- それは人徳が呼び込んでいるんだな。
- 中村
- いえいえ。
世界の広さ
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- 人と付き合う時のコツを教えてください。というのは、私はあまり人付き合いが得意ではなくて。中村こず恵さんはすごく上手そうなイメージがあるので。
- 中村
- いや、すごく人見知りだし。でも、おばさんになってきてだんだんその辺が図々しくなってます。もじもじした感じがなくなってきてますね、昔と比べたら。
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- それは、親になったから?
- 中村
- そんなこともないと思いますけどね、何だろう。なんでしょうね?「こんな事を言ったらどう思われるだろう」って身構えたりとかの気を遣う感じじゃなくて、ただ本当に自然体で喋れるようになったのかな。
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- 自分には難しそうだなあ。
- 中村
- 子供ができると、自分一人で生活している時よりも、色々な人と関わらないといけなくなるので、そういう意味では人付き合いのやり方がちょっとずつ良くなっていくのかもしれない。
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- 子供ができると、閉じなくなるんですね。多分井上向日葵さんが聞きたかったのは、「子供が生まれたら」、「役者として」、何か変化するものがあるのか、みたいなことだったのかもしれない。
- 中村
- ああ・・・うーん。結婚して子供が生まれて、他のいろいろな仕事をするようになったりすると、やっぱり友人知人の数がだいぶ増えたんですよ。演劇だけをやっていた頃に比べて。新しい世界が増えたので。すごく刺激が多くて。昔よりもものの考え方や世界や人脈が広がったと思います。色々な別の考え方ができるようになったのかなと。そうなると割と、力を抜いて色々な考え方をしながらお芝居ができるようになったのかなと思います。
今まで
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- 演劇を始めた頃に影響を受けた作品はありますか?
- 中村
- えー?覚えてないですね。でも、昔の映画はすごく衝撃でしたね。「月曜日のユカ」とか、「黒い十人の女」、「ツィゴイネルワイゼン」とか。すごくかっこ良くてモダンで。そういうのを見たときは衝撃を受けましたね。
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- お芝居を始めようと思ったのは何時ぐらいからですか?
- 中村
- 小学校の高学年ぐらいかな、学校の授業で劇をやったりするじゃないですか。それで何か面白いなと思って。で、中学に入ったら演劇部に入って。高校も、強い演劇部のある高校を受験して。
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- 素晴らしい。
- 中村
- 高校の時は放送・演劇部という珍しい部で、放送部と演劇と、一年の内に半分ずつやる制度だったんです。朗読部門とかアナウンス部門とかあるんですけど、その成績の方が良かったです。放送コンテストで全国大会に行きました。
きっと
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- ところで、今の悩みは何ですか?
- 中村
- あんまり悩んではいないんですけど、やっぱり子供がいると、全国ツアーをするような作品にはなかなかやりたいと言えない。その辺りは仕方ないんですけど、募集があっても稽古時間や日程を見て諦めることが割と多いので。そういう時は残念だなあと思います。悩みじゃないですけどね。残念だなと思ってます。仕方ないですけどね。
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- なんとかできる方法は・・・難しいですね。
- 中村
- でも昔に比べて、子供がいながらでも製作をする人はきっと多くなってると思うんですよ。私たちの世代からだと思いますけど。上の世代は、女優さんは特に、結婚して子供ができたら演劇をやめた世代だと思うんですけど。私たちの世代ぐらいからそうなっていってるんじゃないかな。昔よりかはそういう環境も増えてるのかなと思います。この間の飛び道具の現場も、稽古場に子供を連れて行っていました。演出の大石さんのお子さんと遊んだり。
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- 良い方向に変わってきてると思うんですよね。
- 中村
- どっぷり演劇だけ、というわけにはいかないですし、それは仕方ないと思ってるので、でも自分の生活と演劇を、いい感じに両立していければいいなと思っています。
道
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- 役者・中村こず恵さんのイメージ。私にとっては、優しそうな人なのにどこか不穏な感じなんですよね。普通の人のはずなのに、なぜか関わった人が道を踏み外していくような感じ。
- 中村
- あー。
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- それが、例えばユリイカ百貨店とかに出演するようになると、そういうイメージが完全に消えましたけど。
- 中村
- ユリイカで求められてきたのは、少女性だったりとか、可愛い・可笑しいだったりなので。もちろん、それだけではありませんが。ニットキャップとか烏丸とかでは、ちょっとずれた人間ばっかりを描いていくので。
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- どっちの中村こず恵さんも好きです。
- 中村
- ありがとうございます。
これからも
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- 今までにやった役の中で一番難しかったのは何ですか?
- 中村
- 正直者の会に出させてもらった時、激しいセリフの応酬があって、一つでも間違うと台無しになるのがめっちゃ難しかったです。3人か4人が、電話でだんだんと話をつなげていくみたいな。一言でもミスったら繋がらないみたいな、その緊張感はすごかった。
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- 「愛玩動物」でしたっけ。
- 中村
- 「ルールとマナー」ですね。細かいお話がたくさん繋がる話でした。
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- めちゃくちゃ面白かったです。「ルールとマナー」は。
- 中村
- やってるほうも面白かったんですけど、難しかったです。役づくりが難しいというよりも、単純に技術として難しい。役者の先輩方にオファーを頂いて出演したのが初めてだったので、とにかく緊張が半端なかったです。
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- 今晩DVDで確認します。どこでミスったか。
- 中村
- やめてください。
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- これまで、いろんな中村こず恵さんを見せていただいてありがとうございます。確かに、変わってない、みたいな印象がありますね。
- 中村
- 20代の時は、もちろん色々悩んで。本当にお芝居だけでやっていくのかとか(みんなが悩むポイントですけど)悩んだし。今はそんなことはないので、自分も楽しく、お客さんも楽しんでいただける作品を作るだけなので。割とすっきりしてきましたね。
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- ありがとうございます。また舞台で拝見したいと思います。
- 中村
- はい。これまでにやったことのないものにも、どんどんチャレンジしてみたいと思います。
スイカのスリッパ
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。どうぞ。
- 中村
- ありがとうございます(開ける)スリッパ?
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- スイカにもかかわらずモコモコのスリッパという、矛盾に満ちた感じが気になって。
- 中村
- もうちょっと涼しくなってきたら使います。ありがとうございます。
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- 夏の気分を忘れないで使っていただきたいです。