傷心ガールの朝
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- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、川面さんはどんな感じでしょうか?
- 川面
- 明日からナカゴーの本番です。あと、年末に出演するMODEの稽古もしています。フランツ・カフカの原作のお芝居。それと、ちょこちょこ映像にも出ています。
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- ありがとうございます。では、演劇を抜いたらどんな感じですか?
- 川面
- うーん、ホントに演劇しかしてなくて。何も起きてない?かな。あ、すごい好きだった人と最近別れました。普段の生活と言えば芝居か恋愛か、ですね。恋愛至上主義なんです。それでちょっと傷心ガールになってたんですけど、ポジティブを目指していきたいです。
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- 私は恋愛至上主義者と話すのは初めてですね。
- 川面
- 演劇やっている人は、一人でも行きていける人多いですよね。私、芝居と恋愛と買い物の三本柱で生きています。
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- 四本目の柱はありますか?
- 川面
- 何だろう。何より家族が大事だけど。
ハイバイ
2003年に武蔵小金井(東京)で作・演出の岩井秀人を中心に結成。岩井自身の、16歳から20歳まで引きこもりだったシリアスで個人的な体験を、演劇という装置で濾過して“生々しいけれど笑えるコメディ”に変換。自己と他者との距離感に敏感過ぎる「自意識のアンテナ」が、あらゆる距離感を等価にする「現代口語演劇のメソッド」を介すと、独自の切実さとおかしさを発揮すること、それが意外と多くの人のシンパシーを得ることを発見しつ、近年では岩井の世界も自分、家族、他人と広がりを見せている。代表作は「ヒッキー・カンクーントルネード」「おねがい放課後」「て」。(公式サイトより)
ナカゴー「レジェンド・オブ・チェアー」
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- 明日から始まるナカゴーの「レジェンド・オブ・チェアー」。とても楽しみです。
- 川面
- ありがとうございます。ホントにナカゴー、面白いんですよ。知らない人は知らないけど、知っている人は「いま一番面白い」って言うんですよ。
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- 興味深いです。出来れば、川面さんがナカゴーに出るようになった経緯を教えて下さい。
- 川面
- 大学在学中に、コメディユニット磯川家と一緒に東京でシェアハウス生活してまして。その滞在中にMrs.Fictionsの15 minutes maidのお手伝いに入ったんですが、そこでナカゴーを初めて見たんです。もうダントツに面白くて、子どもたちが突っ立っておしゃべりしたり缶蹴りしてるだけの作品なんですけど。変ぶってる感じじゃなく頭おかしい。人を惹きつけるクレイジーさが最高だったんです。俳優もみんな上手で、びっくりしちゃいました。
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- おお。
- 川面
- 2年前にサンプルの出演が決まって、そのタイミングで東京に越して来たんですが、ナイロン100℃の菊池明明ちゃんと仲良くなったんですけど、彼女もナカゴー知ってて。めっちゃ面白いよねって。ちなみに、ハンバーガーを武器に戦う芝居だったそうです。そこでサイトを見たら出演者募集ってあったので、応募しました。それから度々出ています。
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- 面白そうですね。
- 川面
- 今回はかなり冒険していて。英語劇なんです。ストーリー自体はハッピーエンドで終わるような普通の感じなんですけど、ネタや演技のディテールが全部決められていて、奥行きがあるんです。それが誰にもマネ出来ないんですよ。例えば笑う演技一つも、目ん玉の動かし方や首の筋肉の角度と力加減とタイミングが指示されるんですよ。それはお客さんの目には届かないんですけど、奥行きが出るんです。
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- それは、ますます楽しみです。川面さんは、ナカゴーのどういう部分が好きですか?
- 川面
- 面白いと思うものを素直にやっている所です。「人間とは」とかそういうテーマが入っている作品って、どうしても多いと思うんですけど、そういうメッセージは一つもなくて。
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- 尖ってますね。
ハイバイと私
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- 演劇を始めた経緯を教えてください。
- 川面
- 家族全員が演劇をやっていて、私も小二からやっていました。神戸って新劇がまだあって、そういうところの稽古場に行っていて、そのうち舞台に出る事になって。だから気づいた頃には始めていたという感じです。
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- 川面さんがハイバイに入ったのはいつですか?
- 川面
- 2年前の11月からです。それ以前に北九州の芸術劇場のリーディング公演に参加させてもらって。それからいくつか作品を拝見して、オーディション受けなよって勧めて頂いて。それから準劇団員になり、四国学院大学の学生が岩井さんと芝居をつくる授業のアシスタントで参加し、春くらいに劇団員になりました。
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- ハイバイに入ったのは何故ですか?
- 川面
- 精華小劇場で上演された「リサイクルショップコビト」を見たんです。めちゃくちゃ面白くて。絶対に関西にない芝居じゃないですか。とっても衝撃的で、なんてカッコいいんだと。出演したいな、と思った矢先に、北九州のオーディションがあって、そこに受かって。岩井さんの芝居に出たいと。
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- なるほど。
- 川面
- 頑張ります。
芯にあるもの
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- 舞台に立っていて、どんな瞬間が好きですか?
- 川面
- 長く演劇をやっていると、舞台に立つという事が生活の一部になってくるんですよね。ご飯を食べたり、寝たりするのと同じような感じに。毎日稽古に行くのが当たり前で、毎月舞台に立って。私、今年出演した舞台が7本になるんですよ。それも今年が多い訳ではなく、去年もそうだったし、大学に入っていた頃は授業に自主企画、磯川家もあったし。だから、舞台の一瞬にスペシャルなものを感じる事はあんまりないですね。
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- なるほど。
- 川面
- だって、自分は絶対芝居をやらなくちゃいけない、舞台も映像も真面目にちゃんとやる、ってやってるから。取り立ててこの瞬間が超ハッピーだぜというのは・・・。
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- ない?
- 川面
- うーん、強いて言えば、仲良い人が見に来てくれたりとか。それは芝居というか人と人のつながりですけどね。黙々と、期待に応えるように。
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- すごい。
- 川面
- すごいですか。
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- この質問に対しては、何かしら好きな瞬間があるって伺いますからね。例えば集中している瞬間とか、冷静になれている、だとか。
- 川面
- 私はやっぱり、やってる最中は基本的にはしんどいですね。緊張するじゃないですか。本番のある日は朝早く起きて劇場に行って、リハーサルして、すぐ本番が始まって、たくさんの人に見られて、その後飲みにいって。超大変じゃないですか!
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- ええ。
- 川面
- 基本楽しいですけど、基本しんどい。体力作りもしないといけないからジムにも行ってるんですけど疲れる、そのまま稽古に行って疲れが取れない、やっぱり体力付かないからジムに行って、そういうスパイラルが続いていて。芝居が好きな事に偽りはないんですけど、毎日が楽しいと思ってやってる訳ではないですね。
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- ベースは楽しいんですよね。
- 川面
- そうなんですけど、でも、楽しいというだけで舞台に立ってる人はどうなのかなと。俳優がしんどくても楽しくても、お客さんが楽しむ事だけが大切なんですよ。なるべくおこがましくないように、調子に乗らないように。演劇を楽しむ為の道具には、私はしたくないです。だから、「舞台上の役者が楽しくないとお客さんも楽しめないよ」って意見がありますけど、そんな訳ないと思うんですよ。そういう、ダサいものに囲まれて、それが当然となる環境には身を置かないようにしたいですね。真面目にちゃんとやる、という事です。
そういう女優になりたい
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- 川面さんは、お客さんを楽しませたい?
- 川面
- 大きな意味では、そう思っています。
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- そのためには何が必要?
- 川面
- 日々の努力ですね。お客さんを楽しませるには、その時持ってるポテンシャルや集中力でどうにかしようとしても無理で。日々の努力や稽古で磨いたものが出るんです。だから毎日きちんと生活していないと。普段怠けて生きているのに、一ヶ月後の本番に向けて努力しても・・・。長い目でお客さんを楽しませる為に自分を磨くという生き方をしないと、面白さや魅力は生まれないし、お客さんはまた見に来てくれない。自分が全部出来ているとは言いませんが、そういう女優になりたいと思います。
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- 精神的にも、高いレベルで保ち続ける必要がありますね。
- 川面
- そうですね。でもそれって結構難しくて、そのためには、私には男性が必要なんです。この人の為にキレイでい続けなくちゃならない、そうしていればお仕事もあるし。結局それは恋愛至上主義という訳じゃないのかな、でも繋がっているんです。
質問 村本 すみれさんから 川面 千晶さんへ
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- 前回インタビューさせて頂いた村本すみれさんから質問を頂いてきております。「自分が持っている一番辛い・強い欲求は何ですか?」
- 川面
- 恋愛という事になりますね。20歳の時に生まれて初めて告白して振られたんです。家の玄関で座ってたらいつの間にか朝になってた時、恋愛ってスゲーなと思いました。もう朝だ、みたいな。何がダメだったんだろうとバーっと考えてたら、いつの間にか6時間経ってて。
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- それは凄いですね。
- 川面
- それはハイバイの新年工場見学会でみんなで再現してもらって、それは超楽しかったです。沢山お客さんに笑ってもらって、成仏出来ましたね。
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- 6時間も座って考えられるかな。
- 川面
- 普通に大学の先輩だったんですけど、色んなタイミングが合って恋愛について考える集中力が物凄く高まってたからかな。もう二度と、そんな事は起こらないんじゃないかなと思います。
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- それ以降、何か変わった事はありますか?
- 川面
- 男性の好みにすり合わせて努力しないと振られるんだな、という事です。当たり前なんですけど。意外とみんな、このままの自分を好きになってくれると思いがちなんですけど、ある程度歩み寄っていって、努力を見せないと、そうそう関係は持てないんですよ。私は合わせますね。
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- それが男性にとっては重みに感じられるのでは。
- 川面
- そこは、ちょっとずつちょっとずつ好みに変えていくんですよ。やっぱりいい男と付き合いたいという願望が強いので。
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- 今の、振られた川面さんがしているのはどんな格好?
- 川面
- 結構ラクな格好が好きですね。ホントはオールインワンの服とサンダルでウロウロしたいですね。
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- もし、そのラクな格好の川面さんを好きになった男性がいたら?
- 川面
- うーん、好きになられても、こっちが努力出来ない意識になって、面白く思えないかもしれない。
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- 川面さんにとって、相手の男性と一緒になる努力に価値があるのですか?
- 川面
- いい女と思われたいという意識が強いんです。でも、いい女って色んな種類があるんですよね。彼にとっていい女とは何かを探るのが楽しいですね。
白石加代子さん
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- いつか、こういう演技が出来るようになりたい、というのはありますか?
- 川面
- 白石加代子さんが好きなんです。白石さんが舞台に出たら他の役者が全部食べられてしまっているような気が、私にはして。白石さんみたいな。私も鈴木忠司メソッドを以前勉強していたので、先輩のように思っていますね。
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- そのために努力していると。
- 川面
- そうですね。いや、存在感を増そうとして毎日頑張ってる訳じゃないですけどね(笑う)
折りたためるカレンダーとシール
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
- 川面
- ありがとうございます。なんだろうなあー(開ける)わ、すごい。
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- カレンダーです。折りたためるんですが、マグネットがついています。
- 川面
- かわいい!冷蔵庫にも付けられますか?
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- おそらく。
- 川面
- 私こういう、女子っぽいの好きなんですよ。ありがとうございます。シールもある。