ピンク地底人謀略の第7回公演「その指で」
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- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。
- 森田
- よろしくお願いします。
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- 森田さんご出演のピンク地底人「その指で」が先日終わったところですね。大変面白かったです。
- 森田
- 手法が結構挑戦的だっただけに、ストーリーはお客さんにとってはなじみやすい、恋愛を主題にしたものでしたね。これまでの公演アンケートの指摘に対する、作・演出のピンク地底人3号からの返答だったみたいです。
劇団PASSIONE
1997年結成。京都を拠点に活動する劇団。寓話的世界を描きながらも、不思議な現実感の後味を残す作品が特徴。激しさと寂しさの同居する、万華鏡のような世界観。
ピンク地底人
京都の地下は墨染に生まれた貧乏な三兄弟。日々の孤独と戦うため、ときおり地上にあらわれては演劇活動をしている。夢は関西一円を征服することと、自分たちを捨てた母への復讐。最近は仲間も増え、京都を中心に大阪にも出没中。(公式サイトより)
アートコンプレックス1928
三条御幸町の多目的ホール。ダンス、演劇公演、ショーやワークショップ、展覧会等を開催する。
二つの出来事が重なって
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- ところで森田さんは、どういう経緯でお芝居を始められたんですか?
- 森田
- ある日、職場に来ている営業の人が「今度芝居をするんですよ」って。それまで私は芝居なんて関わった事もなくて、京都演劇界なんてものがあるという事も知らなかったんですよ。
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- それは、そうでしょうね。
- 森田
- でも、働きながらそういう事に関わるっていいなあって思ったんです。私もその頃、声優の養成所に行っていて。
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- ええ。
- 森田
- それと同時期に、同じ養成所に通っていた人から女優を探しているって話があったんです。それがPASSIONEでした。その二つの出来事が重なって興味がかき立てられたんです。どちらか一方がなければ始めてなかったと思います。
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- 初舞台は。
- 森田
- いきなり、舞台のことを何も知らない状態でPASSIONEの公演に出る事になったんですよ。しかもアートコンプレックス1928で、かつ主役級の役で。いい思いをさせてもらいました。あれが最初だったからこそ続けたのかもしれませんね。
アートコンプレックス1928
三条御幸町の多目的ホール。ダンス、演劇公演、ショーやワークショップ、展覧会等を開催する。
PASSIONE「0100」
- 森田
- PASSIONEの前回公演「0100」では「蜘蛛」という役を振ってもらえて。単管に上ってアクロバティックな演技をするという。
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- あ、そうでしたね。伸びやかで、見事な演技でした。そうそう、ああいう訓練というか、体操みたいな事をされていたんですか?
- 森田
- 全然。体育が万年2でした。
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- ああ・・・失礼しました。
- 森田
- もうずっと自己練習して、実際に単管に上ったのは小屋に入ってからという。あれほど小屋入りを待ちかねた芝居もなかったです(笑う)。結局あれが最後だったので、PASSIONEでしかできないことをやりきった感がありますね。
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- そうですね、その「0100」が・・・。
- 森田
- そう、最後の公演になってしまいました。
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- nono&lili.の砂糖さんが、「PASSIONEが解散しまって大変悔しい。腹が立った」と言っていました。
- 森田
- あー。なかなか、長くやっていくのも厳しいですからね。私自身途中参加組で、あまり知ったようなことは言えませんけど。PASSIONE自体は長く活動してましたが、あんまり誰も知らないって・・・。
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- そう、私もそこが悔しいんですよね。
- 森田
- 続けるって難しいですね。知り合いじゃないお客さんをどれだけ呼べるか、定着していけるかという事なんでしょうね。
劇団PASSIONE vol.35 夜想? 「0100」
公演時期:2009年8月29〜30日。会場:人間座スタジオ。
nono&lili.
京都を拠点に活動する劇団。泥臭くて人間味溢れるファンタジーを好んで描く。(公式サイトより)
演劇自体辞めていたかも
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- 今まで出演された舞台で、印象に残った舞台は。
- 森田
- ロクソドンタブラックのフェスにPASSIONEで参加した事ですね。小屋に入ってからも高揚した感じ。集客でも助けられて、満席で本番を迎えられる事の充実感と、それで役者もどんどん輝いていって。三位という結果がついてきたんです。まぁ、結果に作・演出の蟻蛸蛆は満足してませんでしたけど、全体の高揚感が印象に残りましたね。
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- なるほど。
- 森田
- それからもう一つ、大阪のあるプロデュース公演に出演した時に、自分に求められている事が全然違ったので苦労した経験があります。
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- というと。
- 森田
- PASSIONEだと台本が宛書きで、その人が自然に出来る上に輝けるみたいな役を与えてくれるんですよ。それに慣れきっていたんですよね。で、与えられた台本には当時の私には考えられないような役どころが載っていて。それでも頑張ったんですけど「違う」って言われて。
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- ええ。
- 森田
- 周囲に迷惑を掛けてしまって、稽古のペースについていけず、蟻蛸蛆に泣きついたり。眠れない日が続きました。結局、役は変更になりました。その時に強く感じたのは、私は演出に「違う」と言われても何がなのか分からないし、稽古が始まったらパニックになるし、結局役者が向いていないんだなってことですね。辞めようかなと思っていたんです。もし「0100」と「Ex.人間」が決まっていなかったら、あの時に演劇じたい辞めていたと思いますね。
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- なるほど。
- 森田
- 大阪は京都みたいにゆっくり稽古しないよ、って言われたんですよ。稽古してもお金もらえないからねって。京都だと最初は台本が出来あがっていない事が多いと思うんですけど、大阪だと台本も音楽も全部出来ていて。はい、覚えてきてねって渡されるんですよ。
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- そうですね。
- 森田
- それをケロっとした顔で年間何本もこなせる人が何人もいる。演出が「これやって」って言われたらすぐに対応出来る人が揃っている劇団もある。
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- 大阪のペース、京都のペース、ほかにも東京や名古屋や福岡や、都市によって色々ペースが違うかもしれませんね。
演技する事自体がもの凄く楽しい
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- 今後は、どんな感じで攻めていかれますか?
- 森田
- 何が何でも芝居を続けていなくちゃ、というスタンスではないですね。自分の時間を横にうっちゃってしまうのは、そろそろ、どうなのかな?と。
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- 自分の時間。
- 森田
- 2か月なり3か月なり、自分の時間を何か一つのために費やすって実は相当すごいことですよね。その反面、稽古がない日々に耐えられるんだろうかとも思っていたんです。でも意外に充実してた(笑う)。
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- あはは。
- 森田
- 稽古がなくても過ごせるもんだなと。今後も、とりあえず出演予定はないです。耐えられるかどうかは分かりません。・・・PASSIONEが解散した事もあって、芝居は辞めると周りに言っていたんです。でも、最後の出演作と決めていた「その指で」、上演の最中に、演技する事自体がもの凄く楽しいなと思えたんですよ。
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- すばらしい。
- 森田
- PASSIONEでも楽しかったんですけど、だんだん、自分のシーンはちゃんとこなせているかとかの不安が強くなっていったんですよね。この間のピンク地底人では、純粋に芝居をすることが楽しかったんです。
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- その、楽しいって思えるというのがキーワードなのかなと。そこに、8年を掛けて至ったという。
- 森田
- 舞台に立っていながら、お客さんと作品を作り上げる実感なんでしょうね。一切幕裏にハケない演出だったからかもしれない。役者でありながら、お客さんと同じように作品を見てもいた。もちろん、それまでも本番を迎えるのは楽しかったんです。でも、そこに至るまでの努力というのが、自分の役について悩む事に終始するようになっていて、そこに甘んじていたというか。悩んで深刻になればOKみたいな。だから不安だったのかも。「その指で」はそういうこととはちょっと違う作品でした。
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- それはあるいは、森田さんは今、役者として成長し続けているのかもしれませんね。
- 森田
- みんな、こういう風に悩んだりするんでしょうか。
質問 大庭 裕介さんから 森田 みさをさんへ
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- さて、前回インタビューさせて頂きました、地点の大庭さんからご質問を頂いてきております。「1.朝食は食べますか?食べるのでしたら、そのメニューはいつ決めますか?」
- 森田
- 私はいつも決まってるんですよ。
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- えっ。
- 森田
- 毎日同じものを食べてるんです。毎朝納豆ご飯で。いつも納豆を買ってあるので、毎日食べられる。もし書い忘れたらチーズトースト。火を使うのが面倒くさいので。
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- すごい。
- 森田
- え、何がですか。
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- いや、大庭さんもいつも食べるものが決まってるんだそうです。食パンにチーズとキュウリをのせてレモンを掛けたものとコーヒーだそうです。
- 森田
- (笑う)普通じゃないですか。
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- へー。何だかすごく偶然な感じがしますね。
moccocuのネックレス
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- 今日はお話を伺えたお礼にプレゼントがあります。
- 森田
- あ、噂の。
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- つまらないものですが。どうぞ、開けてみてください。
- 森田
- いえいえ。(開ける)あは、ネックレスですね。かわいー。私、よく、緑が似合うって言われるんですよね。
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- なんか、名字とお名前の一文字目からして。
- 森田
- あ、私もプレゼントがあるんですよ。
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- えっ。
- 森田
- 今日はクリスマスですよ?
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- あ、本当だ。
- 森田
- 大したものではないですよ。
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- 開けてみてもいいですか?
- 森田
- どうぞ。
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- あ、クッキーですか?もしかして、手作り?
- 森田
- はい。
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- ありがとうございます。大事に食べます。へー。本当に嬉しいです。すごい。大学に合格した時くらい嬉しいです。
- 森田
- それ、稽古場にも持っていったことがあるんです。湿気てしまわないうちに。
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- はい。早めに食べます。