「濃色企画」
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- 今日は、宜しくお願いします。
- 村井
- 宜しくお願いします。
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- 最近は、何色何番の「濃色企画」の稽古ですね。
- 村井
- そうですね。
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- いかがですか。
- 村井
- 先週まで別の本番があった人達を客演に呼んでいて、その人達の稽古参加が一昨日になったので・・・。
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- 一昨日ですか。
- 村井
- 稽古期間が一週間しかないので、かなり。
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- 大変ですね。
- 村井
- 大変ですね・・・。
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- 今回は、チラシが面白いですね。ハッタリのきいた感じの。
- 村井
- 大学の時の友達が少女マンガ家で、今回お願いしました。
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- 絵柄がりぼん系ですよね。
何色何番
たかつかな・村井春也。の二名による演劇ユニット。各公演に〜〜色と題して、全くテイストの異なる公演を行う。
何色何番濃色企画「少女戦隊!ドキレンジャーツー(2)〜ドキレンジャー対DEATHメガネ〜(仮)」
公演時期:2008年01月13〜14日。会場:スタジオ人間座。
中学生の時の「こんなんあったよなあ」という感じ
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- 今回のお芝居はどんなコンセプトなんでしょうか。
- 村井
- コンセプト。
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- 表現したいテーマとか、お芝居そのもののやり方の提示ですとか・・・。
- 村井
- ああ、なるほど。ええと、思い出をつめ込んだという所があって。今回私が作・演出なんですが、自分にあった事しか書けないんですよ。経験していないことが一切書けない人間なので。
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- 今回は、どのような事を。
- 村井
- 今回は、中学生の時の「こんなんあったよなあ」という感じですね。
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- メガネと闘ったことがある・・・?
- 村井
- それはないですね(笑う)。どっちかと言ったら、中学生の頃ってエロい言葉を辞書で調べてはしゃいでたりしてたじゃないですか。あのノリを懐かしく思い出したいという。私の中学は、お弁当を買って持っていく事が出来なかったんですよ。だから、たまにそういう機会があると心がウキウキするんですよ。高校に入ったら飴を持ってきてもよくなったりするじゃないですか。そういう地味な、スキマスキマの思い出を詰めていきたいですね。話自体は、普通に戦いを描くみたいな感じなんですが。
緊張感
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- 村井さんがお芝居を始めたのは何故なのでしょうか。
- 村井
- 小学生の頃から、声優になりたいというのがあって。というのも、音読が好きだったんですね。
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- ああ、分かります。
- 村井
- 本読みが上手だと言われたから好きになったんだと思います。んで中学校入って、演劇部がなかったので作って、高校で演劇部に入って、大学の演劇部が合わなかったので自分で作って。
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- 円劇飴色ですね。
- 村井
- で、その延長線上で何色何番に。今は、もうダメだと思うまで演劇を続けて、限界になったら就職しようと。それで今まで、うっかり続けています。
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- うっかり。
- 村井
- うっかり。
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- それでは、村井さんの趣味について伺いたいと思います。
- 村井
- 趣味。こういうお芝居が好きとか。
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- いえ、お芝居作りにおいての村井さんのスタンスですね。作るにあたって大事にしたい事ですとか。たかつさんからはとてもストイックなやり方をされると伺っていますけれども。
- 村井
- あ、ホントですか。ストイックって響きがかっこいいですよね。
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- そうですね。
- 村井
- ・・・緊張感。
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- それは、演技をする上での。
- 村井
- 演技をする上で、ですかね。ダラダラするんだったらしない方がいいと思っているので。今は稽古期間が休み中で、本番まで時間が無いんですが、そういう意味ではもの凄い緊張感がありますね。
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- 緊張感というのは、稽古時間中の話ですか?
- 村井
- 芝居をするなら、いつでも「殺される」と思っていないとなあ。という。わかんないですね。
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- いえ、ええと。緊張感そのものが重要という事なのかなあと思うんですが。芝居の内容ももちろん重要なのですが、それとは別で、舞台上で集中している人、というのが大事なんですかね。
- 村井
- あ、そうですね。緊張感が好きです。
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- いいですね。それは。
- 村井
- いえ、私から出てるかは知らないですよ(笑う)。
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- いえいえ。集中している人の姿というのは、演劇でしか見られないですもんね。
- 村井
- ショッキングな場面というのは、現場に行けば見れるものかもしれませんが、それは見世物と言っていいものかどうか。事件現場であったり、抗議活動のさ中であったり、劇的だし、非日常的だし、凄いあてられるものがあるのですが、それは見世物とは違う。
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- マスコミの取り巻く中で殺されたりね。
- 村井
- そういうのは見世物とは違うけれど、人はそういうものをうっかり見てしまいたくなるものだと思うんですね。人倫的な事はともかく。舞台上で役が傷つくのは、それに応えられるものになるなあ、と思っていて。まあ、重たい人には重たいと思うんですが。
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- 劇場に行けば、失敗したら終わりの本番が見れますね。まあ、現場ですよね。
- 村井
- ある記事に取り上げてもらった事があって、そこで言った事なのですが・・・。演技をしているというのは、舞台上でちゃんと生きて死にたいという。
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- 生きて死ぬ?
- 村井
- あたりまえの事なんですが、役者はその人の人生の断片を表現するんですね。役は本番という時間でしか息が出来ない。だから自分の持てる限りのものをめいっぱい費やして、ちゃんと死なせたい。一日に本番が3回あったとしても、二度とやれないじゃないですか。
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- では、村井さんにとっていい役者というのは、舞台でちゃんと生きて死ぬ事が出来る人なんですね。
- 村井
- そうですね。私は、本番に入った途端生き生きする人が好きです。お客さん、小屋、本番の時間が好きな人ですね。そういう役者を見ると、脅かされます。やべっと思います。いい緊張感、刺激になります。
数を
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- 今後について伺いたいと思います。村井さんは、これからどんな形で攻めていかれますか。
- 村井
- 本番が凄く好きなので、舞台の数を増やしたいですね。自分とこの回数のみならず、客演だったりとか、違う機会でもっと多くの公演に参加できたらなと思っています。
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- いいですねそれは。
- 村井
- 数が多ければいいと言う訳でもないんですが。もっとたくさん板の上にいたいと思いますね。
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- もちろん、緊張感を保った上で。
- 村井
- そうですね。・・・本番が離れている期間は、凄く状態が悪くなるんですよ。
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- 状態。
- 村井
- 何か、生きてて大して面白く思えなくなったりとか、寝れなくなったりとか。
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- なるほど。
声
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- これは真剣な意味で伺いたいのですが、村井さんが今一番欲しいものはなんですか?
- 村井
- 今一番欲しいもの。
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- あ、別にやりたい事でも結構です。
- 村井
- 言うならば、大きい話なんですが、実現力。
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- はい。
- 村井
- 大分色々まとめてますが。
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- 大丈夫です。叶える力ですね。
- 村井
- ・・・現状に何も不満ではないが、しかし、自分の限界を伸ばしたいと思っています。
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- それはどんな世界で。
- 村井
- 表現。具体的にいくつか言ってしまうと、風邪なんか引かない喉が欲しい。喉をつぶしやすいんですよ。
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- 防御力、ですね。
- 村井
- そうですね。あと、存在感ですね。実は、狂言とかの古典芸能が大好きなんですよ。何が好きって、役者が出てきただけで空気が変わるんですね。纏って出てくる空気が違う。それだけで目を瞠ってしまうものがあって。
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- 凄いですねあれは。
- 村井
- あんなのになりたいですね。
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- 彼らは明らかに、存在が違いますからね。前提に普通や日常や庶民感覚がある、小劇場とは違いますね。
- 村井
- 全く違うと思います。狂言が好きで、稽古とか見学に行ってます。ワークショップで知り合いになったので。そういう存在に近づきたい。
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- 存在感にも色々ありますよね。華ですとか、殺気ですとか、怒りですとか。
- 村井
- 小さい佇まいなのに、とても引き付けられてしまう、そういうものに惹かれますね。それから、琵琶の弾き語りとか文楽とかの声の出し方がもの凄く好きなんですよ。潰れない喉が欲しいというのはそういう事で。小学校の頃から、声を出したり聴いたりする事に興味があるんですね。でも伝統芸能の声の出し方となると・・・。
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- はい。
- 村井
- ああなるためには途中で喉を潰す訳には行かなくて。さらに、歳にならないと出てこない風格があったり、その重ねをちゃんとやって行くために潰れない喉が欲しいんですね。
小鉢 (作・堀田円夏)
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- 喉ではないんですが、お話を伺えたお礼にプレゼントがあります。
- 村井
- ありがとうございます。大事にします。
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- どうぞ。
- 村井
- (開ける)お、凄い・・・。これ、面白いですね。
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- 器ですね。
- 村井
- いや、ありがとうございます。めちゃくちゃカッコいいじゃないですか。
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- 小物入れなどにして頂ければ。