論文執筆中
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- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。戸谷さんは最近、どんな感じでしょうか。
- 戸谷
- 通信制の大学で英米文学を学んでいるんですが、中々進まなくて。万年浪人生という感じです。元々の入学した動機が単純にそこで学べば英語が喋れるようになれるんじゃないかと。ばかでしょう?(苦笑い)今は残りの単位の取得と、海外の戯曲を題材にした論文を書いています。
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- うまくいくといいですね。どんな論文になりそうでしょうか。
- 戸谷
- ノエル・カワードという人の、『プライベート・ライブス』という軽妙洒脱な恋愛喜劇があって。TONY賞を取ったことのある作品です。実際に観たことがあって。シンメトリーな構成で書きたいなと思っています。こんなので本当に卒業出来るのか、分からないですけど。
katacottsについて
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- 戸谷さんはkatacottsという個人ユニットをされているんですよね。これはどのような経緯で作られたのでしょうか。
- 戸谷
- 私、演劇経験が薄くて、失敗を重ねて、でも色々な表現活動をしていきたいなと思いまして。そういう場が欲しかったんですね。やりたい事があれば着実にというのがモットーです。でも無謀に挑戦していきたいです。
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- つまり、演劇が好きだから作ったんですね。演劇が好きだと気付いたのはいつですか?
- 戸谷
- 小学校6年の学芸会です。中高は演劇部だったんですが、そこではもっぱら表方でした。だからスタッフワークに弱いです。大学ではそういうサークルには入っていませんでした。観劇はしていたんですが。劇研のアクターズラボに通っていたこともありました。後は客演を少々。
katacotts
初心に帰って”かたこと”から始めようと名付けた京都の小さな演劇企画。カタコトからいろんなものが広がるように。(公式サイトより)
分岐点
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- 戸谷さんが舞台に立った上で、この一瞬は忘れたくないという一瞬はありますか?
- 戸谷
- ありますけど、シークレットです。
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- 分かりました。では、どのような瞬間が好きですか?
- 戸谷
- 私はこれまで、役者にしか興味がなくて、アンサンブルが上手く行った時が凄く楽しかったりします。笑いが取れた時も嬉しいです。あと役として作品の役割(ポジションなど)をこなせそうなときも。最近は、演出のプランを考えている時が面白いです。
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- プランを企んでいる時ですね。
- 戸谷
- それを実際にすると失敗するんですけど(笑う)前回の公演も出演者の方に迷惑を掛けてしまったんですが、自分の中では分岐点になりました。
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- 分岐点というのは、どういう。
- 戸谷
- 演出として関わる事があればやっていきたいなと思えたんです。新しく、演出への興味が生まれたんです。役者への興味が失せたというわけではないんですが。
質問 鈴木 ちひろさんから 戸谷 彩さんへ
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- 前回インタビューさせていただいた、鈴木ちひろさんから質問を頂いてきております。「憧れている人はいますか?」
- 戸谷
- たくさんいますね。トリコ・A の山口茜さんにはとても憧れていますね。『ポストムーミン』 に出させて頂いたんですが。
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- どういう所が。
- 戸谷
- すごく繊細な方だと思うんですけど、それをアピールする訳でもなく、気遣いが出来る人だと思います。『ポストムーミン』の時、私がどうしてもセリフを言えなかったんですが、そこで「座ったらセリフが言えるんちゃう?」って。そういう心遣いをしてくださるというのが凄いですね。
トリコ・A
トリコ・Aは、山口茜が「自分で戯曲を書いて演出をしてみたい」という安易な気持ちを胸に、1999年、勢い余って立ち上げた団体です。当初の団体名は、魚船プロデュースと言いました。以来11年間、基本的には上演ごとに俳優が変わるプロデュース形式で、京都を拠点に演劇を上演してまいりました。やってみると意外と大変だった事が多い様に思いますが、皆様の暖かいご支援のもと、現在も変わらず活動を続けております。(公式サイトより)
トリコ・A「ポストムーミン」
C.T.T.京都 vol.94 参加作品。公演時期:2011/6/30〜7/1。会場:アトリエ劇研。
katacotts『不動産を相続する姉妹』
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- katacottsの前回公演『不動産を相続する姉妹』面白かったです。表象的な、うすっぺらい小道具を使って表層に振り回される人々を皮肉った演出だったかもしれないなと。戸谷さんとしてはどのようなつもりで演出されていたのでしょうか?
- 戸谷
- ひとえに出演者の方にご協力頂いて、色々ご意見も頂いてそれに助けて頂いたんです。田辺剛さんの作品は、その作品世界や登場人物たち個々のさじ加減(演じる上での)とその調和を難しく思いました。私は戯曲の中で、物語自体の儚さや登場人物たちの脆さを感じたんです。それで小道具も薄いもの(アクリル板やガラスなど)にしたんですけど。もとから透明なものを使うというプランはもっていました。
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- 脆さ。
- 戸谷
- 登場人物達が立っている場所が一本の柱の上のような気がしていて。だから、ミステリーの部分についてはあまり掘り下げずにしていました。そこに脚本の焦点があるという訳じゃないのかなと。そこを探ると物語が崩壊してしまいそうな気がして。だからそこは色々想像が出来るようにして。
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- なるほど。
- 戸谷
- 上演する時にある程度イメージはあったんです。定点としての土地は共時的にあり続けるけど、幾千年をかけて風化し、色々な人々が移り住む。時には雨風にさらされるだけのときだってある。その通時的断片である、ある家族と土地を巡る物語を見せたかったんです。私は姉役を演じたんですけど、家族への執着を演じながら、最後には前提として「通時的土地(共時的家族)」からその「概念」のみを受け継ぎ「その土地に決別する行動を見せたかった。土地を離れられる精神状態まで演じきれればなと思いました。土地や国や場所って、壊れやすいものだと思うんです。家族だってまんざらではない。でも、概念や思いは漂っていて、如何様にも変えられる。思いを持っていればループされていくんじゃないかと思っています。
katacotts『不動産を相続する姉妹』
脚本:田辺 剛。公演時期:2013/2/22〜24。会場:壱坪シアター スワン。
集中力
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- 戸谷さんはkatacottsで朗読をされていますよね。
- 戸谷
- まず一人で出来るものから始めようと。当時朗読サークルに入っていたんです。まず夏目漱石の『文鳥』という作品をkatacottsで上演しました。色んな方に迷惑を掛けながら。助けてもらいながら。
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- なるほど。朗読をするときには、どういう気持ちになりますか?
- 戸谷
- 昔、ピアノを習っていたんですが、その時の気持ちに近くなります。集中していますね。自分の中では、いつでもチャレンジなんですけどね。
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- 戸谷さんの朗読、聞いてみたいですね。集中力がものすごい強そうな気がしますね。
外れていたボタンがはまったような・・・
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- いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか?
- 戸谷
- 見て頂いた方がちょっと元気になるような、外れていたボタンがはまったような、失くしていたものが見つかった時のような、そんな演技ができるようになればいいなと思います。あと作品としての役割をちゃんとこなせるような。
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 戸谷
- 攻める・・・私は攻めたら怪獣のように壊してしまうので。周りにあまり迷惑を掛けない範囲で、誰かの小さなきっかけを作り出せるような、そんな作品を作れるようになりたいです。
小箱
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。どうぞ。
- 戸谷
- マジですか。開けてもいいですか?
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- もちろんです。
- 戸谷
- (開ける)あ、かわいい。こんな小道具を使う芝居を作ってみたいですね。