大路 絢か
大路 絢か
大路 絢か
大路 絢か
大路 絢か
大路 絢か

大路 絢か

俳優

一つ前の記事
同じ職種
高阪 勝之(男肉 du Soleil)
瀬戸 沙門(劇団速度)
奥田 ワレタ(フリー・その他)
稲田 真理(伏兵コード)
河原 岳史(壱劇屋)
殿井 歩(フリー・その他)
松田 卓三(尼崎ロマンポルノ)
益山 貴司(子供鉅人)
海老飯 もぐも(第三劇場)
上田 展壽(突劇金魚)
為房 大輔(劇団ZTON)
ピンク地底人3号(ピンク地底人)
紙本 明子(劇団衛星)
田中 浩之(Will Be SHOCK Entrance Gate)
永野 宗典(ヨーロッパ企画)
福井 しゅんや(fukui劇)
桐山 泰典(中野劇団)
北尾 亘(Baobab)
水沼 健(MONO)
河井 朗(ルサンチカ)
松葉 祥子(フリー・その他)
宮下 絵馬(悪い芝居)
土肥 嬌也(劇団ZTON)
高田 会計(京都ロマンポップ)
佐藤 和駿(ドキドキぼーいず)
藤本 隆志(てんこもり堂)

潜る

__ 
今日は原脈の俳優、大路さんに色々お話を伺いたいと思います。大路さんは最近、どんな感じでしょうか。
大路 
よろしくお願いします。うーん、もしかしたら今はしっかり自分自身を見る時間を取っていくべきなのかなっていう雰囲気があります。
__ 
自分自身を知っていく時間ですか?
大路 
そうですね。もっと自分の深いところをゆっくり見つめるっていうか、自分の中に潜るっていうことをした方がいいのかなと。作品の中に潜って、自分の知らない自分に出会うことはたくさんあると思うんですけど・・・
__ 
作品によってではなく、自分に潜ると。
大路 
そういう時間を大事にした方がいい時期なのかもっていう気持ちです。
__ 
ご自身の内部を知ろうとするのは、果たしてどういう行為なのでしょうか。
大路 
うーん。そこに自分がどのように立ってるか、とかの手触りを自分がしっかり知る、みたいなそういうことですかね。知らなくても立てるんですけど、感触とか質感とか、どのように地面に立っているかを知る。
__ 
それは例えば、作り慣れた料理のレシピを思い出すというようなことでしょうか。
大路 
いえ、そうではない・・・私は高校生ぐらいから演劇を始めたんですが、その時にできなかったこと、足りないなと思っていたことをどんどんできるように、身につけていった結果今ここにいるような感じがあるんですけど。それをしていく間に別のものになってったと思うんです。高校生の頃と比べたら体の細胞も全部入れ替わってるし、もう別の存在になってる。意識は続いてるけど、高校生の頃とは全然違う感じになってる。もうこの今の自分が自分だと思ってしまっていたけど、しかしそれよりもっと以前の土台があったのではないか、ということに気づいて。今まで見ようとしてこなかったので、もう少しそれと向き合わないといけないと思っています。
__ 
ご自身の土台?
大路 
本来の自分が持っているもの、にちょっと戻ってみたいなと思ったりしています。・・・作り上げた料理のレシピを思い出すようなものではないと思います。もう使わなくなってしまったかもしれない、過去のもの。そういうのにも触っていかないといけないんじゃないだろうか。
原脈

大路絢か(@ohjiiiiiiiiii)と毛利あかり(@mo_ri_aka)の表現ユニット

押し離す

__ 
今まで見ようとしてこなかった、とは。
大路 
うーん。私が高校生とか中学生とかの思春期と呼ばれる頃に、「自分は弱いな」という感覚があって。うまくみんなについていけない、人と同じようにやれないなという。
__ 
なるほど。
大路 
疎外感になるんですかね、寂しく感じていたんですよね。思春期、周りの人はできることがたくさんあって。でも自分は、みんなみたいにたくさんのことができる訳ではない、その状態が嫌だと思った時に、自分から自分の土台を押し離してしまった感覚があります。
__ 
自分から自分を追いやってしまったと。
大路 
その時は必死だったのでそういう風には思ってなかったんですけど、いつのまにか離してしまったみたいです。できることややれることに目を向け続けるなかで、今までの「弱い自分」を改善していった、と思っていたんですけど。でも、なくなったわけじゃなくずっとあったようなんですよねえ、私の一部のまま。進めなくなるから見ないようにしていたけど、もともとの私の土台かと思って。その「弱さ」があったから芝居を始めましたし。人間の感情がわからなかったので、私は一生、芝居を続けないといけないと思って。それから色々と続ける理由は変わりつつも続いています。

イメージが重なり動く

__ 
いつか、どんな演技ができるようになりたいですか?
大路 
演技を他の人と一緒にする中で、台詞は決まってるんだけどその中で高度なコミュニケーションをしている時があって。自分一人ではいけないところまで行けてしまう。というのがとても面白くて。
__ 
台詞だけのコミュニケーションの向こう側。
大路 
もちろん、共演者だけではなくて、演出家とか、照明の入り方だとか音効とか。そこに関わってる人たちも、いろんな采配の中でのコミュニケーションが、複雑でクリエイティブな状況を作り出せるようになれたらいいなと思います。ただ、狙って出すことのできるようなものではないので・・・でもうまい方はしっかりと作れますよね。作り方とか、メソッドがあるわけではないと思うんですけど、それはすごいなと思います。
__ 
まさにそういう、上演の場がクリエイションの場だというところですね。上手な方たちは、その再現力が高く、一方で、高校生中学生の演劇の場でも、それが実現する場合があるじゃないですか。一体何が必要で何が不要なのか・・・答えはまとまりませんね。

原脈

__ 
「原脈」について伺っていければと思います。私が拝見したのは風景を見せる動画と、ピアノの演奏の横でドローイングをするという動画、それとデコレーションキルトの制作過程でした。どんなスタイルを目指しているのか、ざっくりと伺ってもいいでしょうか。
大路 
芝居だけじゃなく、別の色んな表現方法でも、芝居のように会話ができるよねっていうところを探りたいです。私はもともと美術系でガラス工芸をやってたんですけど、多少絵も描けるので。相方の毛利あかりの方は音楽の方です。
__ 
台詞や演技を使わない表現形態のように見受けますが。
大路 
自分の持つ考えとか感じ方とかを、言語ではなく、その時に出るふさわしいもの、身体とかにですかね、にそのまま出してみて、相手はそれを受け取って自分の中で咀嚼しながら、会話の受け答えとして自分の表現で返す、みたいなところですかね。それをすごく強く目指すというわけじゃないんですけど。
__ 
それが原脈のあり方というか・・・
大路 
面白かったら近くに寄ってくれてもいいし、遠くからなんとなくぼーっと眺めてもいいし。誰かに見てほしい、伝えたいということではなく、本当にどこかの誰かがした会話というのはちょっと聞いてたら面白いみたいなことがあるじゃないですか、電車の横に座った人たちの会話とかが耳に入ってきたりとか。そういうものでいいんじゃないかなと。面白いと思ってくれた人は勝手に見るだろうし。今はそういう感じですね。
__ 
ありがとうございます。原脈のことについて、大路さんの方から、能動的に何かお話になっておきたいことがあれば教えてください。
大路 
表現をして、それを人が見る。とは一体どういうことなんだろうか。見てほしいという気持ちが強くない代わりに、いろいろな疑問があります。自分が生きて表現をすることだったり、他の人の表現を見ることだったりとか、誰かと一緒にいることとか。私たちはこう思う、みたいな、確かなことをバンバン出していくようなことはできないと思うんですけど、もし何か、楽しいな面白いなと思えることが見つかったら、それをみんなでできたら面白そうだなという風に思えたら、一緒になにかやりませんかあと声をかけたりすると思います。そんな時が来るかもしれない。

男の子のロマン

__ 
ニットキャップシアター「さらば、象」大変面白かったです。少年役での出演でしたね。ご自身ではどのような経験でしたでしょうか。
大路 
ありがとうございます。少年役の経験が近年多いんですが今回はすごく言われたのが、「男のロマンがわかっていない」と。「超能力だったりNASAのロケットの発射だとかを、女の子の目線でやってるよね」と。そんな男の子のロマンというものを手ほどきしていただきました。男の子の要素、ロマン、強いとかかっこいいとかを、自分で手綱が握れたら面白そうだなと思った経験ではあります。
__ 
男の子の、ヒーローになりたいという願望はあまり変わってないかもしれません。もちろん、女の子にそれがないとは言ってないですけどね。
大路 
そうですね。戯曲に出てくる人は、自分とは違う性別を持っていたりする。でもそれはただの差のひとつなのかなとは思います。
ニットキャップシアター 第46回公演

2025年1月31日[金]~2月3日[月] AI HALL(伊丹市立演劇ホール)

戦争が終わってしばらくたった1955年の春。
ある男女が出会い、家族がはじまりました。
1970年の万博の夏。
子供は二人になっていました。いつも喧嘩がたえない騒がしい家族になりました。
やがて、バブルの真ん中1986年の秋。子供たちも大人になり、それぞれの道へ。
震災があった1995年の冬の朝、
孫の活躍が眩しい2005年の春の夕暮れ、
検査と対策の時代を経て、今日まで―――

質問 高野裕子さんから大路絢かさんへ

__ 
前回インタビューさせていただいたコンテンポラリーダンサーの高野裕子さんから質問をいただいてきております。好きな季節はいつですか?高野さんはちなみに春だそうです。
大路 
私は初夏ぐらいが好きですね。春と夏の間。春はまだ寒い時もあったりするので、夏に向かい始めるぐらいの時季。ものすごく命が生き生きするなという。そのあたりがやっぱり自分も生き生きするような気持ちになります。

色彩のなかで

__ 
大路さんは、なぜ表現をしてるんですか?
大路 
んー・・・表現をしているというような感覚は無く、生きている延長線上のような気がしますが・・・表現してるんでしょうねえ。コミュニケーションの一環なのかな。ああ、コミュニケーションを取りたいからですかね。絵でいう色彩のように、いろいろなコミュニケーションの幅の中で活動していきたいです。

京からかみと版木スタンプ

__ 
今日はですね、お話を伺えてお礼にプレゼントを持ってまいりました。
大路 
わ。ありがとうございます。
__ 
よろしければお開けください。
大路 
これは和紙・・・
__ 
京からかみと、版木スタンプです。よろしければ製作にお使いください。
大路 
ありがとうございます。すごい。原脈の活動で使いたいですね。
(インタビュー終了)