劇団エリザベス番外公演「マザー4」大阪公演
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- 今日はどうぞ、よろしくお願い致します。劇団エリザベスのk.r.Arry(ケー・アール・エリー)さんにお話を伺えます。早速ですが、エリーさんは最近、どんな感じでしょうか。
- Arry
- 最近はそうですね、久しぶりに劇団活動をしています。
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- 久しぶりとは。
- Arry
- 劇団エリザベスを旗揚げして東京で活動してきて、結構大規模な公演をしたり三都市ツアーをしたり。でも、金銭面での限界を迎え、しばらく活動を休止していたんですよね。
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- そして今、「マザー4」のツアー公演。東京公演に引き続き、大阪公演ですね。
- Arry
- はい。実は今回、以前よりも作品に向き合うという事が出来ているなあという感があって。というのも、今年の活動については演出を辞めているんです。
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- つまり現在は脚本だけ。
- Arry
- 脚本を書く事でしか演劇と関わっていない。自分の脚本と向き合わざるを得ない。今までとは違うアプローチが生まれている気がします。
劇団エリザベス
劇団エリザベスとは、2009年12月18日に結成された劇団。日常に潜んだ不条理をチープに、シュールに、そしてハイソサエティーに表現する作風が特徴。マスコットはザベスちゃん。光合成が趣味の女の子。いつか花が咲くことを夢見ている。好きな食べ物はみかんゼリー。ほか、劇団エリザベスとほかの表現者が出会う企画「劇団エリザベスmeet's」主宰k.r.Arryによるソロ企画「蔵迷宮」など様々な企画も展開。(公式サイトより)
劇団エリザベス番外公演「マザー4」大阪公演
公演時期:2014/12/13〜14。会場:in→dependent theatre 1st。
平日は地方。土日は東京で演劇。
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- 演出を降りて、脚本に集中してかったという事でしょうか。
- Arry
- 実は僕、いま関西よりもさらに西のほうに住んでいるんです。
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- えっ!
- Arry
- だから2012年の頃とかは金曜日の深夜バスで東京に行って、土日の間に稽古して、また深夜バスで戻って。 それを毎週続けていたんです。体力的にも精神的にも金銭的にもきつくて、それでもやってました。そこへ、2013年は三都市ツアーをやると。
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- それは凄いですね。
- Arry
- 皆からは「実は東京に住んでいるんじゃないか」と言われてました。毎月の交通費が10万を越えてしまって、もうアホですよね。
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- 東京に住んだらいいのに。
- Arry
- きつかったですけど、よくやっていたなと思います。年に4本くらい公演してましたしね。
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- 京都の人間としては信じられないですね。京都は創作環境が都合良く整いすぎているんですよ。例えば終電がないとか。
- Arry
- えっ!
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- 京都市内に住んでいる人に限られますけどね。稽古後に飲みに行ったりとかも時間を気にしなくて良かったりするので。
- Arry
- 凄いっすね。
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- そういう場所で演劇をやっていた人間としては、エリーさんの移動についてはちょっとこう、傾いてるなと思いましたね。
- Arry
- (笑う)そういう無茶苦茶な活動をしているんですが、僕の活動を気に入ってくれた人も中にはいて。それが深寅芥さんという演出家であり俳優さんなんですけど。彼にエリザベスのツアー公演で出演して頂いて、ご迷惑を沢山お掛けしてしまったのにも関わらず。それでも舞台ドリームクラブの脚本書かないかということで、お声掛け下さって昨年の8月に上演しました。僕が脚本、深寅さんが演出で。
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- なるほど。
- Arry
- 僕は脚本に集中して、東京での稽古参加は見送ってました。それを経ての本番を見たんですが・・・脚本をですね、一字一句変えていなかったんですよ。
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- ああ、それは凄いですね。
- Arry
- 大概、よくある話で脚本との方向が違う演出になったり、台詞が書き変わったりなんて事もあるのに、彼は何も変えなかったんです。それが、僕にとってはとても有り難かったんです。新しい経験でした。そして演出家としての彼を信頼できる契機になりました。すげー年上なんで、僕が何をほざくかという感じもしますけど…。そんなことを経て、とりあえずエリザベスの番外公演の演出をお願い出来ないかと依頼したところ、引き受けて下さって。
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- それが「マザー4」なんですね。
- Arry
- はい。東京公演がですね、評判が良かったんですよ。アンケートにもネガティブな事が何一つ書かれていなくて、しかも「脚本が良い」と書かれていて。きっと彼が脚本を信じてくれた結果なんだと思っています。そういう演出家と出会えたこともあって、僕は今、脚本を書く事に集中出来ています。
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- 意気込みを教えて下さいますでしょうか。
- Arry
- そうですね、ごくごく普通なんですが、面白いので観てほしいです。本当に面白い作品。役者と脚本と演出、全部自信があります。実はオリジナルの作品は久しぶりなのでやっぱり不安はあったんですけど。
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- さて、エリーの晩餐会という集まりがあるそうですが、これは。
- Arry
- 簡単に言うと宴会なんです。「出会わなければ演劇人は始まらない」というコンセプトの元、とりあえず飲もう!と。
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- あ、そのままなんですね。
- Arry
- 数年前は東京で不定期に開催していたんですが、昨年は大阪を中心に開催しました。LINX'S TOKYOに参加したこともあって、ステージタイガーさんとか劇団ZTONさんとかとも仲良くしていただけて…。関西の演劇関係者ともそれなりに飲み会を重ねることが出来ました。結果、そんな大阪のエリーの晩餐会から派生して生まれたのが、先日のindependentの一人芝居フェスの白井さんの作品 です。
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- あれについても伺いたいです。
- Arry
- 自分の本拠地、つまり劇団エリザベスですね、そこでは絶対にやらないものをやりましょうというコンセプトで創りました。とても楽しかったです。
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- 相手の女の子の事など一切考えず、恋と性欲のままに突っ走る作品でしたね。プロレスして出血もするし、久しぶりに勢いのあるお祭り騒ぎ芝居を拝見しました。
- Arry
- (笑う)
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- 私が拝見した回は他にコロさん・隈本さんの、自分の道に殉じる男がテーマの作品でした。3連続で見ると壮観でしたね。
- Arry
- エリザベスの作品は基本的にはラブストーリーだったり、女の子のお芝居だったりするので、あんな下ネタまじりの作品は書いたことがありませんでした。なので、そういった自分の道に殉じる男が描けていたと思って下さるのはありがたいです。
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- 劇団エリザベスでは、これまでやってこなかったし、今後も絶対にやらない、そんな作品。
- Arry
- そうですね、絶対にやらない、やれない作品です。脚本を劇団員に見せたときに、面白いですけどエリザベスではやらないでください、と言われてしまいましたしね。…あの脚本についてですが、開き直って言うと、何も考えてないです。あのイベントは俳優のフェスティバルだと思うんですよね。白井さんにしかなりえない、白井さんがやってこそ輝くもの。あの作品が観客投票で一位になったのは、白井さんの事をみんな好きになったからだと思うんです。あんだけ変態な事をやっておいて人気が出るのは白井さんだからなんじゃないかな。あと、タイトルが長いのも、見ている側が入り込みやすいものは何か考えた結果ですね。タイトルに意味深なこと書いちゃって、お客さんに余計なこと考えて欲しくない。
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- なるほど。最初に手の内を晒されたという感覚は確かにありましたね。しかも開始6分あたりで、女の子に謝罪し始めるじゃないですか。あれが素晴らしかったです。観客の機先を征するかのように「警察は勘弁してください」「もうストーカーはやめます」とか言い始めて。これは一筋縄ではいかない脚本だなと思いましたね。
最強の一人芝居フェスティバル“INDEPENDENT:14”
公演時期:2014/11/27〜30。会場:in→dependent theatre 2nd。
劇団エリザベスの方向
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- 劇団エリザベスを旗揚げした経緯を教えてください。
- Arry
- もともと大学が演劇学科だったので、みんな劇団を旗揚げしていくんですよ。これで自分は始めないというのは違うなと思って。
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- いま、劇団エリザベスは、ご自身にとってはどんな存在ですか?
- Arry
- まだ全然青いなあと。これから熟すんじゃないかと思っています。今について言えば僕も劇団員もたぶんバラバラの方向を向いているんです。というのもみんな事務所に所属してたり就職してたりするので。各々の生活があるし、それでいいと思ってます。たまに余裕が出来たら、エリザベスのほうを向いたりして芝居やりましょう、ああそうかい、それならよろしく、といった具合ですかね。みんな劇団員一致団結して突っ走ろうとか、そういう熱意はないし、そういうのなくていいな、って最近思うようになりました。
質問 KING&HEAVYさんから k.r.Arryさんへ
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- 前回インタビューさせていただいた、KING&HEAVYのみなさんから質問です。ちなみに彼らは来年、2015年2月にHEPホールで旗揚げ公演するそうです。
- Arry
- 凄いじゃないですか。
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- その脚本・演出である飯嶋さんから質問です。「女性に言われて、今まで一番ゾクっとした言葉は何ですか?」
- Arry
- 「大切な事ほど、言葉にしないと伝わらない」
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- ありがとうございます。次は伊藤さん。「本番前に必ずする事はなんですか?」ちなみに伊藤さんは「歯をみがく事」だそうです。
- Arry
- 何でしょうね。トイレに行くことかな。
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- 次は和田さんから。「人の言葉や行動で自分の琴線に引っかかる事はなんですか?」
- Arry
- 自然な笑顔を見た時ですね。
ザベスちゃんがいた季節
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- 劇団エリザベスのマスコットキャラクター、ザべスちゃんについて。さて、ザべスちゃんとは何者なんでしょうか?
- Arry
- ザべスちゃんは、昔僕の部屋に住んでいた幽霊の女の子です。
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- 彼女をキャラクター化したのがザベスちゃんなんですね。話した事はありますか?
- Arry
- 喋った事はないですね。でも、とても寂しかった時にずっと一緒に居てくれた子だったのでありがたい存在でした。ですが今はもういないんです。数年前にいなくなりました。最近、ドキドキした事はありますか?
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- ああ・・・あまりないですね。
- Arry
- 最近物事に感動しなくなってしまって。普通の人のような物事の感じ方しか出来なくなったせいで、ザべスちゃんが見えなくなってしまったのかもしれないなと。
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- 僕はいま30代なんですけど、確かに感動が薄くなる、心が逸らなくなってしまったような。
- Arry
- 昔は心臓がひっくり返るくらいドキドキワクワクするような事はあったのに。今は上司に怒られた時ぐらいですよね。
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- うーん。何でなんでしょうね・・・。
沸騰する劇場
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- いつか、どんな演劇を作りたいですか?
- Arry
- 脚本も演出もいらない舞台、じゃないですか。ドリームクラブの舞台に脚本で関わっていたんですが、あれはお客さんが舞台を作るんですよ。作品を楽しもうと思って見に来ているんです。演じている女の子達も応援されて、たぶん稽古のときよりもずっといい演劇をしている。それって、観客も一緒に舞台を作っている、舞台のひとつのファクターとしてそこにいる。観客も含めて舞台作品なのかもしれないと思うようになりました。ピーターブルックが「俳優と観客さえいれば演劇は成立する」何かの本に書いていて。お客さんと一緒に作る、そんな作品がいいですよね。
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- きっと難しい事だと思うんですけど、そういう濃いコミュニケーションを取る事が出来ればいいですよね。これまで演劇をやってきた身からすると、稽古場で培ってきたもの以外が本番でいきなり出るというのは、ちょっと抵抗があるんです。でも、仰っている事の価値は分かるつもりです。
ヤンキーキャンドル二点
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- Arry
- 僕個人的には売れようという気持ちは全然なくて、それよりも面白いものをちゃんと作る事が大事かなと思っています。面白いものさえ作れば、劇場の大小に関わらず、観てくれる人は観てくれているので。それに売れようとして大きな劇場にこだわると、結果的にみんなが違う方向を向いてしまうこともあるので。あと、少なくとも演劇では食えないという認識を僕は持っていて、だったらそこはあまり気にせずにちゃんと面白いものを作りましょうよ、とそう思っています。
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- おお・・・私、だいたい同じ意見です。
- Arry
- あ、そうなんですか。
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- はい。今日はありがとうございました。
- Arry
- ありがとうございました。