各地を
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- 今日はどうぞ、よろしくお願い申し上げます。最近、宇野さんはどんな感じでしょうか。
- 宇野
- 最近はどんな感じですかね。コロナで大変になっているなか割と日本各地を彷徨いています。数か月ごとに地方へ移動と滞在を繰り返しながら、色々な作品や仕事に関わってます。もともと一ヶ所に留まって何かをするということがそこまで得意ではないので、各地を訪れる頻度は減ったものの、そのライフスタイル自体はあまり変わっていません。
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- そういうスタイルになったのはいつ頃くらいからですか?
- 宇野
- 3年前ぐらいですね。「Reborn-Art Festival 2017」という石巻(宮城県)で開催された現代美術の芸術祭があって、そこで現代アートのユニット"Yotta"の「青空カラオケ」という作品の専属スタッフとして1ヶ月半ほど滞在し、展示場の準備/設営や作品が不調な時はメンテナンスをする、などの仕事をしていました。Yottaとの出会いがきっかけとなり、その後も京都をはじめ、大阪や香川、沖縄などにアシスタントとして同行し、移動しながら制作をする生活が定着したように思います。
野外で「UrBANGUILDを上演する」 にて
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- 「UrBANGUILDを上演する」がとても面白かったです。外でライブハウスをお客さん込みで再現して上演するという試みでしたが、悪天候で雷雨の中決行されてましたね。宇野さんの作品は二つ上演されましたがとても面白かったです。稲光をバックに踊っておられましたね。
- 宇野
- そうでしたね。
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- 今日はあの晩何が起こっていたかを知りたいです。即興だったそうですが、宇野さんは音楽に愛されてるような感じがしたんですよね。衣装から墨汁が染み出してくるという演出が面白かったです。
- 宇野
- 上演の3日前ぐらいに「体から染み出してくる何か」というイメージが湧いてきて、前日に急いでインナーを墨汁で染めました。どうやって染み出させるかは正直ぶっつけ本番だったので、もし自然に作用されなかったらその要素を選択しないという選択肢もあり得ました。ずっとタイミングときっかけが来るのを踊りながら待っていました。野外だと、待てば待つほど自分の触覚(身体の感覚)が鋭敏になって、自分の脳(コンセプト)と交わろうとする力が働くところがとても面白いです。今回で言えば、天候が急に悪くなったり、風が身体の横を吹き抜けること、などが表現するモチーフをより写実的にする、そういう感覚を味わえたのが楽しかったです。これは劇場では出来ない事で、時間も空間や条件が限られているから、予め仕込みをして確実にそれを上演、遂行しなければならない。その場に新しいアイデアが生まれても、それを出来ないのは少し不自由だと感じています。
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- 劇場は伝わりやすさとか効率とか経済的な事とか、どうしてもそういうのがありますからね。お客さんに見ていただきやすい環境を整えられるから便利は便利。でも野外は、自由な発想を自由に使える。
- 宇野
- そうですね。私は「劇場じゃないところを劇場にする」という部分に面白さを感じているので、鑑賞体制が整った劇場空間ではなくて、野外や半野外で公演をすることが多いです。
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- ダンスがないところにダンスを出現させる。
- 宇野
- はい。それが終わると跡形もなかったように元に戻る、という感じで。
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- 幻ですね。
- 宇野
- そう望んでいるところはありますね。
『UrBANGUILDを上演する』
構成・演出 向坂達矢 《日時》 2020年8月22日(土)17:30~20:00 京都市内の多目的ライブハウスUrBANGUILDの間取りを手がかりに、UrBANGUILDを上演する。 京都市内の屋外(密閉を避ける)のスペースにUrBANGUILDの実際の間取りを密接、密集を避け、社会的距離を守ることができる広さに拡大して再現し、そこで、UrBANGUILDで以前作品を上演したことのあるダンサー、演劇人、音楽家による作品の上演を行う。 演目: 「ダンス」 「重ねれば触れられる」 振付・出演 宇野愛生 「演奏」 「即興」 演奏 須藤亮太郎(UrBANGUILD) 出演 宇野愛生 「演劇」 「レモン爆弾」 作・演 向坂達矢 出演 斎藤ひかり、西野蕎麦 [構成・演出] 向坂達矢 [演出助手] 福井裕孝 [出演] 斎藤ひかり、西野蕎麦、宇野愛生、須藤亮太郎(UrBANGUILD)、観客役30名 [制作] 沢大洋 [配信] 人間座スタジオ
ダンスと
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- 宇野さんがダンスを始めたのはいつからですか?
- 宇野
- コンテンポラリーダンスを始めたのは大学からです。高校3年間ダンス部に所属していたんですけど、振付は全て決められていて、同じカウントで同じ動きをすることが求められて、軍隊みたいなところでした。国内・海外の大会で優勝し続けるのが当然だったり、先輩たちの武勇伝を刷り込まれて、先生や先輩の口から出た私的ルールを伝統と呼び、その伝統は絶対で、正直「今日が終わって明日が来たらまた部活に行かなくちゃならない、やだな」とか毎日思ってました。大学に行ったら絶対ダンスはやらないと決めていたのに、気付いたらまたやってました。
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- 京都造形芸術大学に入ったのは?
- 宇野
- 元々は演出の勉強がしたくて入学しました。在学中は舞台デザインコースで音響を専攻し、舞台音響家として演劇やダンスの公演に携わりました。音響をするにあたり「演出の言葉を理解しないといけない」という問題に直面し、演出家/振付家/ダンサー/俳優 がそれぞれどういったものなのか、何を求められるのか、その違いを自分の中で見つけたい、と思ってダンスや演劇の専門授業を受けていました。
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- そうなんですね。
- 宇野
- 当時のダンスの授業では寺田みさこさんが先生だったんです。授業は音響志望でも授業ではダンサーと同じように振付けを作って踊ることを求められていて、その時みさこさんに言われたのが、(みさこ先生は私がここ3年間ダンスをやっていたことは知っていて)「その振付はたくさんのストリートダンサーが全員やってるけど、自分はその中で一番上手いと思ってる?自分が一番上手にできる振付じゃないとだめだよ」と言われて。めっちゃ傷ついたんですよ。そこからダンサーとしての火がついたんだと思います。
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- おお。
- 宇野
- それから数週間くらい体調悪くなるくらい考え込んで出た結論が、高校3年間必死でやって何度も日本一位をとったり、世界大会で二位をとったりしてたけど、それはそれで完成して終わったことだったんだ、と。でもみさこさんの言葉で私のダンスはまだ終わってないんだな、と思えるようになったんです。なので少し救われた気持ちになりました。
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- その言葉は希望ですね。高校の頃のダンスと大学で出会ったコンテンポラリーダンスがつながるようになった?
- 宇野
- そうですね。でもほぼ真逆の存在ではあるんですが(高校の頃の基礎を使わせてもらっているぐらいで)。昔の私を知っている人に見せたらきっと、「なんかすごいね」って言われると思います。
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- その言葉からは、昔の私たちとは違うねという意味があるんでしょうね。
- 宇野
- そうですね。かっこいいかも分かんないし美しいかも分からないけど、「わからない」という言葉を用いるより「何かすごいね」と言っておけば傷つかないと思ってるところがあるから、きっと後者の言葉を選ぶんじゃないですかね。
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- もしかすると。本当にすごいと思うかもしれないですよ?
- 宇野
- そうだといいですねぇ……。
パラレルワールドで
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- 宇野さんのダンスは普通のコンテンポラリーダンスとはどこか違う気がしますね。
- 宇野
- そうですか?
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- 私はどんなダンスも好きなんですけど、でも基本的に頭を働かせて見てるんですよ。宇野さんのダンスはそういう必要がなかった。そうなる要因についてまず思い当たったのは足腰の強さでした。
- 宇野
- あはは。
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- コンテって、アンバランスな重心から発生する動きから、具体的な意味が取れない場合が多々ある。その動きの共通性。私だけなのかもしれないですが、それらに対しての見方を覚えてしまっている。でも宇野さんのダンスは足腰が強いのと音楽に愛されているから、見ている私がとてもノリやすいんですよ。
- 宇野
- それは初めて言われました。
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- 頭を全く使っていないというわけじゃないんですけど、特に詮索をしなくてもいい時間が過ごせる気の置けない友達みたいな?だから飽きない。
- 宇野
- ありがとうございます。私は頑固な天邪鬼というか、カッコよく言えばパンク精神で物事を捉えていたりするんですけど、コンテンポラリーダンスを追求する、世に周知されていくにつれて「いや、みんな同じことやってるやん」と感じてしまい、そこに違和感を覚えたんだと思います。そこに中指立てたかったというのが私のコンテンポラリーダンスの起源かもしれません。当時は疑問にするまでもなく「おもしろくない」と言葉にしてました。いつまで踊りで感情を表現しているんだ、モダンダンスと何が違うんだ?というところから。
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- というと。
- 宇野
- ダンスの奥の方に寂しいとか悲しいとか苦しいとか嬉しいとか、そういう感情を表現したくて自分の身体とリンクして大げさにやるという感じがださいなあと。感情の表現には正解がないはずなのにみんなで模範解答を見て安心する。お客さんに自分の存在を認めてもらうことが大切で、お客さんと何を創造したいのかということはあまり何も考えてないんじゃないか、という風に私は見てます。
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- 分かります。
- 宇野
- そうはなりたくないなというところがあって。先程のみさこさんの話でもあったようにアンバランスな重心は私の武器じゃないからというのももちろんあるんですけど、そこで勝負しないかわりにどこで勝てる勝負をするのかっていうところで今の踊りのスタイルが形になったんだと思います。あとはたぶん、ふたりの師匠が関係してますね。3年前には辻本知彦さん、最近では山海塾の石井則仁さんの下で踊りを学んでいるので、身体の使い方は大きな影響を受けているとは思います。
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- 舞踏に興味があったんですか?
- 宇野
- コンテンポラリーダンスを始める前から多少、興味はありました。でもなかなか体験する機会はなくて。舞踏は虚構の世界を表現するという考え方があることを知って、あ、それだなと思ったんです。現世におけるこの肉体をどうこうということではなくて、別の世界にいる私がどうやって息をしてるのかとか、どうやって歩いているのかとか何を見てるのかとかその目の前に何があるのかというのを模写したい・表現したいんです。私の場合は、ダンス作品を芸術として成立させるためには、身体でどこまで表現出来るか?という目標を目指すよりも、虚構を作り上げる力が必要なんじゃないかなと思って。パラレルワールドと私は呼んでるんですけど。そこで生きるためであれば私は別にこの「私」の形じゃなくても問題はありません。
旅程
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- パラレルワールドにいる自分を表現したい?
- 宇野
- ありふれたダンサー達は自分の身体で等身大の自分を表現しようとしているようでした。それを上演することは観客とどういう関係を築きたいのかというコミュニケーションはとれないんじゃないか、と思って。じゃあ自分は何を表現するべきなのかって考えてる中で、虚構の世界に生きることに希望を見出しました。生きるためには情景とか風景、虚構の世界で目に見えた大きなものとかを描写したらいいのかなと。そういう風にぼんやりと曖昧な感覚を持ってたんですが、舞踏のことを知って「虚構の世界をより写実的に表現すること」に私は挑戦してみたいと考えるようになりました。世界を作れば自分のことは表現しなくても「そこ」に生きているだけでいいはずです。
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- 色々な、表現の方向性をめぐる旅程があったんですね。身体で情景を描写するという面で、演劇に似ているような気がします。
- 宇野
- そうですね、近いと思います。演劇はそんなには知らないんですが、役者も本当の事言ってるとは限らない。私は自分の身体がどこまで動くのかということではなく、見たことのない世界が見たいという理由で表現をやっているので。見たことない世界に存在する"私"は「ここじゃないどこか」に確かに存在するし、その世界軸の"私"とここにいる私は対面することはないけど、そこで体感したことは全て"私"の人格となって今の私にストックされるので、作品を作れば作るほど/踊れば踊るほど、私の中の"私"が増えていきます。キャラクターがストックされていく感じです。そういう意味では私のダンスは演劇的だと言っても問題はないです。
音楽に愛されている
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- もしかしてなんですが、宇野さんは虚構の存在を演じる時には、振付は重要視していない?
- 宇野
- そうですね。ぶっちゃけ、そこまで重要じゃないと思っていて。年長者からは「それは良くないよ」というのはよく言われます。私自身、要らないとは思ってないんですけどね。まぁ、重要度ランキングは低いです。
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- 場合によっては大事にする?
- 宇野
- 何を振付に起こすのかによって価値は変動すると思います。踊りのモチーフは大事だけど、振付けそのものを神格化しすぎると身体の構造とかリズムとか、音楽そのものを踊ることで見失ってしまったり、振付にリズムをハメられてしまったらウソになるような気がして。振付だからそれ通りやらないといけないというのは正直無駄だなと。
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- ゆえに、ご自身の作品の場合は即興で踊るというスタイルなんですね。
- 宇野
- そうです。「音楽に愛されている」と言ってもらえたのはそういうことなのかなと思います。その時々に聞こえている音はタイミングや空間、音響機器の性能によっても少しずつ違っているので。できることならひとつもとり溢したくないです。
土の袋が
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- 宇野さんはご自身が表現したいと考える虚構や風景や世界を、言葉というデジタルな情報を橋として体と繋いでいるんですね。観客は、そこを手がかりに理解を始めることができる。どのようなイメージが用いられるのですか?
- 宇野
- 見たものを見たままにストックしています。色々な所で滞在していく中で、私の見たことのない風景が意思とは関係無く脳に刻まれることもある。津波にのまれた土地の上に作りかけの堤防とすごく大きな土の入った黒い袋、フレコンバッグというみたいです。それがずらぁっと海の近くに並んでいてその光景が異常だったんです、本当に。数人で乗り込んだ車のなかで「この中に何が入ってるんだろうね」という話をしました。その中には絶対夢や希望は入っていないしもしかしたら放射能が含まれた土が入ってるかもしれない。埋めるのかもしれない、ここから先永久にそこにあるのかもしれない。そう言った会話が記憶に残ってます。そして、それでも海はこれまで見たことがないぐらいキレイで、そのギャップだとかは図らずも、少なからず、私の中にストックされています。
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- もしかして、少し感傷的だった?
- 宇野
- ストックされるのはその時にどういった感情を抱いたかではなくて、見た時の衝撃ですね。感情は移ろうし他人と共有ができないと思っているからです。私が綺麗だとかかっこいいと思ったものが必しも他人と共有できるわけではない、でも衝撃ならみんなにも伝わるだろう、それを忠実にダンスで表現しなきゃいけないと思っています。
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- なるほど。
- 宇野
- 北朝鮮がミサイルを打った時の「あ、死ぬな...」と思った時のもストックしています。あとは、情景とかじゃないですけど、別のところで見た一人の男性に女性が執着して縺れた男女間の愛情関係の戦いを一生忘れられない。だったら、その記憶が自分によて改竄されないうちに形にする。これはもしかすると、ただただエネルギーがすごい、みたいな衝撃に出会った時の自分を守るための方法でもあるかもしれません。
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- それらのストックは時間の影響を受けて変質したりするでしょうか。土嚢の中身が軽くなったりとか。
- 宇野
- あんまりないですね。うん、ないです。
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- ストック同士がお互いに関係を持ったり、影響しあったりしますか?
- 宇野
- それもあんまりないです。別名を付けて保存しているので。影響しあったりすることはないです。私はその情景や風景や出来事を忘れないためにひとつひとつと認識してダンスにしています。
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- なぜそのストックを踊ろうとしてるのでしょうか。
- 宇野
- 自分が忘れるということが罪だと思っているからです。そして、それらのストックをあえてミックス・構成することで虚構の世界が作れると思っています。土嚢やミサイルの大きさはそのままですが、その比率のバラバラさから新たな虚構の世界が生まれると思うんです。だから、同じ世界を作ったことはないですね。ストックの意図的に組合せを変えて構成することで、それらは完全に別の異世界になります。
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- 観客はどうしても順番にとらわれるというルールがある。それは逆に言うと舞台芸術の素晴らしさだと思う。お客さんは、舞台の上の人々と一緒に、ゼロの状態からエンディングまで一緒についてきてくれる。物語があればよりいっそう深く理解することができる。物語をはじめあらゆる型に手助けされているが、もちろん囚われてもいる。
- 宇野
- うんうん。
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- 順番(も型ですね)に囚われているが、物語の型が手助けしてくれるわけではない虚構の世界で、お客さんにどのような価値の定義をしてあげられるか?
- 宇野
- まずお客さんは、衝撃が上演されているとは知らない。だからこそ、それらの繋がりを重要視しています。シーン同士という意味だけじゃなくて、自分の存在や世界、言葉の繋がり。私がどうやって生まれて死んでいくのか。最初から最後まで伏線をきちんと回収するように気をつけています。
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- 伏線はお客さんの中で自動的に解消されるでしょうね。
- 宇野
- そうですね、そこはお客さんがどことどこのシーンを繋げて私の結末とするのか。そこをどう考えてくれるかというのはお客さん次第でもあるし。私の中にも私の結末もあるけど私自身にも亜取ってる最中でルートはいっぱいあって。その選択肢があるということが、(観客としての)私にとっては救いでもある。今はそのルートを一択でお願いしますっていうお客さんが多いと思うんですけど、正直言うとその解答を用意するのは私の仕事ではないなと思っています。好きなルートを選んでください。正解はないです。私は一緒に考えたいんですよ、結末を。"ここじゃないどこか"についての会話がしたくて、私は踊っています。私はお客さんと話したいんです。私はまだ見たことない世界を、お客さんと会話することで見てみたいんです。そしてお客さんが私と会話したいと思ってくれるような、そんな私でありたいと思っています。
質問 TiBiMiNAさんから宇野愛生さんへ
ショッピングバッグ
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- 今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントを持って参りました。
- 宇野
- ありがとうございます!
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- ショッピングバッグです。丁寧に折りたたまなくても小袋に収納できるものらしいです。
- 宇野
- 私、カラビナ超好きなので!胸きゅんポイントです。