マニラ/あけましておめでとう
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- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。ダンサー二人のユニット、…1[アマリイチ]のお二人、斉藤綾子さんと益田さちさんにお話を伺います。
- 益田
- よろしくお願い致します。
- 斉藤
- よろしくお願い致します。
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- 最近、お二人はどんな感じでしょうか。
- 益田
- 先日『RE/PLAY Dance Edit』のマニラ公演が終わりました。そのフィリピン帰りのテンションのままで稽古しています。というか、京都の『RE/PLAY』公演からテンションが上がっています。
- 斉藤
- というか、昨年のきたまり/KIKIKIKIKIKI『悲劇的』の頃からテンションが続いてるんじゃないかな。
- 益田
- そうですね、割とそこでわっと燃えて、、燃え続けている感じでした。
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- じゃあ昨年の夏のテンションが、今も続いているということですね。
- 益田
- はい。マニラから帰ってきてやっと元旦を感じました。
- 斉藤
- 飛行機降りるときに「あけましておめでとうございます」って言い合いました。
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- 今年もよろしくお願いします。
...1[アマリイチ]
ダンスユニット。
斉藤綾子/Ayako Saitoh
益田さち/Sachi Masuda
RE/PLAY Dance Edit
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- 『RE/PLAY Dance Edit』大変お疲れ様でした。大変面白かったです。こんな事を最初に言うのは何ですが、観ててすごく疲れて、そして、そのぶんの感動がある作品だったと思います。
- 益田
- どの辺りが一番疲れましたか?
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- 前半と後半の、最後のループかな。その一つ前のループはものすごく楽しかったんだけど、最後の最後のループの直前の瞬間に、ダンサーの目が一斉に死んだような気がして。ああ、これが最後のループなんだ、と直感したんです。
- 斉藤
- 最後のループ、「GLITTER」かな?え、あそこが一番楽しい。
- 益田
- あそこが一番生き生きしてる。本当になんか、あと一回踊らせてもらってありがとうみたいな。
- 斉藤
- ご褒美みたいなね。
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- 全然認識違ってましたね。なんだか私は地獄や天国をあの作品に見たような気がしています。ダンサーのしんどさはものすごかったでしょう。一度踊ると、すぐに倒れるじゃないですか。あれは絶対心臓に悪いような気がします。
- 斉藤
- でも、立ち上がれるから倒れられるんです。
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- 目は死んでいないと。
- 益田
- 立ち上がったら、また踊れるようになるから。たまに、もう少し寝ていたいと思うこともあったけど。
- 斉藤
- 私は京都公演で踊らせて頂いてたんですけど、自分でびっくりしたのが、最後の曲の「GLITTER」の時に、寝ているのが我慢できなくなってきたんですよ。早く立って踊りたくて、立ってから自分の踊り出すタイミングまで溜めてました。もう何か、早く立ちたいと、どんどん先走ってしまうような。
- 益田
- そう。同じ振付なのに、何回も踊っていくことで感覚?が変わっていきましたね。
- 斉藤
- 振付に閉じ込められているものがだんだんと溢れていく、という多田さんの言葉がしっくり来ていました。「オブラディオブラダ」十回繰返す時にも、閉じ込められてるところから「開けた」という感覚が生まれるのを楽しみました。
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- 感覚が変わっていく。
- 斉藤
- 何て言ったらいいんだろう、私の場合はですけど、振付は細かくすればするほどいいと思っているので結構細かく決めるんです。でもそれを考えずにできるようになってからはどんどんと、ダンサーじゃなくなっていくみたいな。言い方が悪いかもしれないけど、ただただ、やりたい事をやっているような。ダンサーとして決めた事はやるんですけど、なんかだんだんどうでもよくなっていく感覚があるんです。自分が、踊り続けることを幸せと思える人間で良かったなと思います。そう思いながら「GLITTER」の三回目を踊っていました。
KAC Performing Arts Program 2017/ Contemporary Dance 国際共同製作 『RE/PLAY Dance Edit』
【京都公演】
日程:2017年11月25日(土)19:00開演/26日(日)15:00開演 会場:京都芸術センター 講堂
演出:多田淳之介
振付・出演:きたまり、今村達紀、Sheriden Newman、Narim Nam、Chanborey Soy、Aokid、斉藤綾子、吉田燦
【マニラ公演】
日程:2018年1月13日(土)14日(日)19:00開演
振付・出演: Eisa Jocson、Irish Paul Mendoza、Carissa Adea、John Paul Ortenero(フィリピン)/Narim Nam、Sophal Sor(カンボジア)/きたまり、益田さち(日本)
おかしなる/悪いとは思ってない
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- 最初はただただ長い儀式が続いていて、四十分ぐらい続いて、頭の中で批評したりしていたのが退屈になり、それを通り越して気がおかしくなっていったような。
- 斉藤
- マニラ公演、二日とも本当に面白かったんですよ。お客さんの反応が、初日と二日目で全然違っていました。初日、「オブラディオブラダ」の四回目にお客さんの集中力が切れて、みんな「フワァー!」ってなったんですよ。乗って観てくれました。歌ったり揺れたりとかして。二日目は逆にものすごく集中して観てくれて、ダンサーのみんなは職人のようでした。もう、ほぉーって。本当に面白かったんです。
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- 観客もダンサーも、集中力が高まっていたと。
- 斉藤
- そして最後には「GLITTER」だから。溜めていたものがどんどん広がっていく感じ。客席の上から観たりもしたので余計に感じました。
- 益田
- 一日目は、お客さんの強い反応を受けて、ダンサーの方がすごく変わってしまって。まだ五回目なのに、お客さんに対する意識が出始めていって。
- 斉藤
- 外への目が開かれて、お客さんの反応を受けて、どんどん変わっていく感じ。作品のルールとしてどうなんだろう、とは思いましたが。
- 益田
- 不安にはなりました。二日目はもっとちゃんとこの作品を踊れた感じがして。全然違う経験でした。
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- 貴重な体験でしたね。
- 斉藤
- 何のために踊るんだろうと思いましたね。
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- 作品のためなのか、その場で盛り上がるんなら思うように踊りをやってもいいのか。
- 斉藤
- それでも「この人はダンスのために踊っているんだなあ」と思う瞬間もあり。
- 益田
- 振り返ると、私の場合は一日目はお客さんのために踊っていたんですね。その回は開演してからもお客さんが入場したりしてきていて、観客席全員に対して観てくれっていう意識が生まれてしまって。その中でもちゃんと踊りきるということには集中していたなーと思っています。悪いとは思っていないんですが、ただそうだったなあと。
- 斉藤
- 観ている側に回ると、もう一回「GLITTER」いけ、って思ったりしました。
- 益田
- そうだよね。実際に一日目はもう一回「GLITTER」が来る、って思っちゃったんですよ。あと一発行かないと、みたいな心残りはあったかもしれません。
- 斉藤
- 二日目の最後は「あ、これが最後」と分かったんです。これ以上は何もない。「この作品ってちゃんと終われるんだ」と思いました。
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- そういうのが見ている人に伝わるのは面白いですね。
余った日に
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- …1[アマリイチ]はいつ結成したんですか?
- 斉藤
- 2015年のWSの場で通訳をしていた益田さんと共通の知合いがいることがわかって。じゃあ飲みに行こうということになって。
- 益田
- 謎に昼から飲みにいったりね。
- 斉藤
- 何度か飲んだり舞台観に行ったりするうちに「ところで、もちろん一緒に踊るよね」ということになって。暗黙の了解を、ようやく言えたみたいな。
- 益田
- それからずっと何をしようかと相談していたんです。
- 斉藤
- それがたまたま閏年だったんです。
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- あ、だから「アマリイチ」。閏年ね。
- 斉藤
- せっかくだから公演は2月29日にしようということになって、最初は公演の作品名だったんです。余った日だからアマリイチと。
- 益田
- 気に入ったよね。
- 斉藤
- 一気に気に入った。
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- アマリイチではどのようなダンスをしたいと思っていますか?
- 斉藤
- そこは最近よく話してるよね。
- 益田
- 私が最近意識してるのは「境界」というもので、それを意識してみるとどうなるんだろう、というテーマです。何でもありになってしまっているダンスをするときに、自分たちが「これがダンスだ」と言えないのはダメだよね、という意識はあって。
- 斉藤
- 私たちが思うダンスはこれです、と言えるものを作ろうと二人で話しています。
考え過ぎの彼女
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- お互いを「良いなあ」と思うのはどんな時ですか。
- 益田
- 私が綾子ちゃんのダンスに惚れたのは、初めて彼女のダンスを舞台で観た時でした。自分のダンスに対して本当に自信があるんですよ。こんなに、自信を持って踊っている人はいないと思うんです。驕りという意味ではなく、疑いがないんです。それを観た時に、ズキューンってなって。
- 斉藤
- たぶん初めて観てくれたのが『シンデレラ』なんじゃないかな。作品の力もあると思うんですけど。
- 益田
- あと、綾子ちゃんはすっごい地味なことをする。「目立ってやれ」みたいな気持ちじゃなくって。
- 斉藤
- 本当ね、ほんと申し訳ないんですけど自分が楽しければいいと思ってるし・・・
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- いいと思います。
- 益田
- いいと思う。
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- 地味な事とは?
- 斉藤
- 私はこれがやりたいんだと思ったら、ちょっとね、暴走しがちなんです。どうかと思いつつも、改める気もあまりなくて。
- 斉藤
- 益田さんはね、すごく悩むんですよ。
- 益田
- そういうことを言いますか。
- 斉藤
- まったくもって、気になったことを流そうとしないんですよ。そういうタイプには見えないのに。テキパキと何でもこなせそうで、まあ実際にそうなんですけど、でも悩んでるんです。その、さちの丁寧さと追求にびっくりした事があるんです。一昨年彼女が、きたまりさんの『夜の歌』のすぐ後に高野裕子さんの『Sheep creeps the roop』に出演していて、全く違う作品をこんなにも違う顔で踊るのかと思って。こんな大変な作品を同時に抱えて、ひとつひとつ丁寧にやってたんだなあと思って。彼女は自分がまだまだだと思っているから、どこまでも丁寧にしようとするんですよ。限りなく。
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- それが悩みぎるということなんでしょうか。
- 斉藤
- たまに、いま考えていることをぶつけてくるんですよ。二人で稽古してる時とかに。
- 益田
- (笑う)ごめんね。
- 斉藤
- この人はずっといろんなことを考えて暮らしているんだなと思ってます。
踊りがいの話
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- お二人が最近、ダンスについて考えてることを教えてください。
- 益田
- ずっと考えてるけど事なんですが、私はいつも同じところに帰ってきちゃうんです。結局ダンスって何なんだ、と。舞台に乗ってる間は本当にそんなことどうでもよくなってただただ幸せに踊ってる事もあるんですけど。
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- ダンスとは何か。
- 益田
- 自分が、これがダンスだと体感できる瞬間を求めています。同じ踊りをしていても「いま私、踊ってるのかな」と疑う事があって。踊っていると感じられる時とそうでない時と、どう違うのかなと。前に遠藤くんと斉藤さんの3人で踊った作品の稽古では、「ダンスって何や」と言う事を二人にぶつけて、返してくれたのが、すごく嬉しかったです。ダンスって今や何でもありじゃないですか。ただ立ってるだけでもダンスだと呼べることもあったりして。ただその時は、そこにリズムがある限りダンスと呼べるんじゃなかろうかと考えていました。その中で遠藤君は「振付でない方が踊っている感じがする」と言っていて、綾子ちゃんは「振付を踊る時の方が自由に踊れている気がする」と。感覚はそれぞれに違うということに気がつきました。体感って何だろうと考えています。定義付けはどこかにあるのかなあと。
- 斉藤
- 結局ダンスとは何かということに戻っていく。
- 益田
- 謎が深まったりして。でも、結局ダンスがしたいんだろうなと思うんです。よくわかんないこと言ってますけど。
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- いえ、非常に明確だと思います。そういう体感がある時は、自分自身に重なる瞬間があるんじゃないですかね。
私と振付/振付とは何か
- 斉藤
- 私、決まった振付踊るの大好きなんです。踊るときは出来る限り自分に引き寄せようと思ってます。如何にそれを好きになろうかということばかりを考えています。この振付の中に、私のこれまでをどこまで詰め込めるかと。日常の細かいこともそうだし、あの時綺麗だった夕焼けの色とか。そうやって、振付が自分のものになっていく感覚がとても楽しい、けどとても苦しい作業です。
- 益田
- 何だろう、綾子ちゃんは振付にちゃんと近づいていける人だと思う。
- 斉藤
- さっちゃんの場合はすごくたくさんの顔があるから。こんなことも出来るのか、と。
- 益田
- 変に器用なところはあるかもしれない。でも、どれが本当の自分かわからなくなる時があります。ダンサーは色々な人の影響を受けているわけじゃないですか。私はどれだけのものを人から盗んできたんだろう。私は今どこまで人の真似をしているんだろう。そんなことを思う時もあります。今は、次回の『FOuR DANCERS』のために振付をしてるんですけど、結局誰かからの借り物になっている気がする時があります。そう思うと踊りたくなくなったり、そういう波があります。
- 斉藤
- 本歌取りみたいなモノでしかないと思うんですけど、私の場合は諦めてしまったんですかね。ずっと自分のポケットに入っていたから、それはもう自分の、みたいな。
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- 自分の中に入っているものを大切にするということなんじゃないですかね。
- 益田
- そういう、信じる力は羨ましいです。私はすぐに疑ってしまうから。
- 斉藤
- 私の方こそ羨ましいと思う事は多いです。『RE/PLAY』の時も「そんなポーズ思いつくかよ」とかね。
質問 田中 浩之さんから ...1[アマリイチ]の二人 さんへ
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- 前回インタビューさせていただいた、田中浩之さんから質問をいただいてきております。「なぜ自分はダンスなのか、たとえばそういう事を考えすぎて袋小路になってしまう事はありますか?」
- 斉藤
- ん?なぜ、ダンスなのか?なぜ、ダンスをやっているか、を?
- 益田
- そこについてはあんまり考えすぎてはいない気がします。あれ?そうかな。ちょっと考えてみます。
- 斉藤
- うーん?「何でダンスなんだろう」?
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- まあ斉藤さんは、実家がダンスやってるから。
- 斉藤
- すごくおこがましいことを言うと、本当におこがましいことを言うと、正直、踊るために生まれてきたと思ってますよ。こんな環境で育ったから「何でだろう」というより「そりゃそうでしょうよ」としか思えない。きたまりさんの『悲劇的』に出演させて頂いたとき、チラシに「踊ることは 宿命だから」と書いてあって「おっ、今きたか」と思ったんです。この言葉にすごく助けてもらったし、そう思うと力が出る自分に気付いて、ダンス続けてきて良かったなと思いました。
- 益田
- 私は全く逆のアプローチであの言葉を捉えていました。まず私は疑うわけじゃないですか。他の人にとっては宿命かもしれないけど、自分にとってはそうではないかもしれない、だから私はこの作品にはふさわしくないのかもしれないというところまで落ちてしまって。でも結局、踊りたい、と思って。踊ることが宿命じゃなくても、ずっと片思いでもいいから踊りたいと思ってしまった自分がいて。一方的でもいいから。最終日にやっと、納得して踊れたんです。
からだのこと
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- 今後、どんなダンスを踊りたいですか?
- 斉藤
- 楽しく踊りたいです。
- 益田
- 私は怪我をせず健康に踊りたいです。実は先日、アマリイチときたまりさんで新年会をしたんですけど、きたまりさんに2018年の抱負を聞かれた時にも同じように答えました。
- 斉藤
- 私も、楽しく踊りたい、と。いつもじゃねえか、ってなったよね。
- 益田
- でも抱負だから、続けられるような、わかりやすく達成できるようなことですかね。
- 斉藤
- 毎日ちゃんと足の甲ストレッチしよう、とか。
- 益田
- じゃあ私はバレエの基礎をちゃんとしようと思います。そして足腰を鍛えたいです。
- 斉藤
- 私は胴体を鍛えようと思います。あっ、そうだ。表情ってなんだろうなと思ってたんだ。身体が喜んでるのが見えるってどういうことなんだろうなと思って。
- 益田
- 顔でやりがちなところやね。
- 斉藤
- この幸せを身体に落としていけたらいいのに、と思ったところから、身体を鍛えようという風になって。「通り」がよくなったらいいのかな、と思っています。風通しが良いと言うか、引っかからないようであるといいと思って。
- 益田
- 私は足腰鍛えて、持久力がついたらその先に見えるものがあるのかもしれないなあと、思っています。
お顔/視線
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- 今、お二人が興味のあることは何ですか。
- 斉藤
- 顔が気になってしょうがないですね。例えばゲネと本番では、立っているだけでも顔が全然違うじゃないですか。でも、本人は変えているつもりないんですよ。ちょっとはあると思うけど。
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- 演劇もダンスも同じかもしれないと思うんですが、観客は出演者のどこ見てるかと言うと顔を見ていて、で、顔のどこを見てるかと言うと、目を見てるんだと思うんですよ。ダンスの鑑賞者の場合については、もちろん体の動きを重点的に見てると思うんですけど、結局最後には、視線は顔・目に戻る。アイコンタクトがあって。そこで何がやり取りされているのかって興味ありませんか?
- 斉藤
- そうですね。その質問に答えられているかわかりませんが、ダンサーとして、私は振付の練習をしている時に、一つの動きに「感情までいかない何か」をつけるゲームをするんです。ここの動きの感じが好き、こういう景色が見える、ぐらいの。だからといって、「嬉しい」とか「悲しい」とかの具体的な感情にまでは到達させないという遊びです。その中でもやっぱり見るところの意識は多いし、細かく決めようともしています。その振付られた視線から、お客さんが何を受取るのかには興味があります。
ダンスと呼べるもの/高野裕子さんの話(アマリイチ編)
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- 今後、どんな感じで攻めて行かれますか?
- 斉藤
- 作って・・・いくよね?
- 益田
- 二人がダンスと呼べるものを。ただただひたすらそればっかりで。
- 斉藤
- うん。
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- なるほどね。
- 益田
- 二人いたら楽しいからね。
- 斉藤
- そうなんですよ。稽古が楽しくて。何も予定がなければ稽古してるみたいな。たまに、ただコーヒー淹れて喋ってる時もありますが。
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- こないだ取材させていただいた菊池航さんが高野裕子さんのダンス作品に出演された時に、「高野さんは、ただただ、他人と踊るために話し合ってコミュニケーションを取って稽古を積み重ねていく」らしいですね。
- 斉藤
- 裕子さんはすごく言葉にすることを大切にするんですよ。稽古中、私がすんなり言葉できなかった時に、裕子さんは「言葉にした方がいいよ」って言ってずっと待ってくれるんです。本当にそういう、喋って喋って、というのが裕子さんの作品ではすごく大事な時間なんです。
- 益田
- あんなに丁寧な人はいないよね。
- 斉藤
- 裕子さんご自身も「何なんだろう」「何て言ったらいいんだろう」と、考えこむ事もあるし、自分の事のように相手のことも考えてくれるんです。それを本当に感じるんです。
- 益田
- 凄く、大切にしているんですよね。
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- それは余計なお世話ということなんだろうか?
- 斉藤
- いえ、本当に、一緒にいる時間を大切にしてると言うか。『Sheep』の時も、裕子さんのために集まってきたチームだと強く思いました。みんなが、裕子さんに何かを集めたいという気持ちになるんですよね。
- 益田
- うん。
- 斉藤
- 独特な・・・何だろうか。何ていうんだろうなあ、あの感じ。
- 益田
- 大勢の中にいても、一対一で関われている気持ちになります。
- 斉藤
- 一回一回の稽古をも、とんでもない奇跡だと思ってはるんじゃないかなと思います。明日どうなるかもわからないから、本当に今を大切に思っている。とんでもなく純粋なんですよ。
- 益田
- 感情の表し方がすごく素直で。
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- 高野裕子さんにハマりすぎですね。
- 益田
- アマリイチの公演を最初にさせて頂いたのも、裕子さんのアトリエでした。
器二点
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。どうぞ。
- 益田
- では・・・
- 斉藤
- では・・・
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- えっ。いいですよ、そんな。
- 益田
- いえ、本当にちょっとだけなんですけど。
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- いやいや、ベビーチョコの一粒でいいですよ。
- 益田
- フィリピン土産なんですけど、凄く甘いお菓子とドライマンゴーです。
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- いいな!ありがとうございます。泣くほど嬉しいです。食べます。
- 益田
- 良かったです。私たちも、こちらこそありがとうございます。
- 斉藤
- (開ける)あ、可愛い・・・ヤバい。テンションあがる!
- 益田
- 可愛いー。ちょっとこれ、小物入れにしよう。
- 斉藤
- うわぁー。可愛い。
- 益田
- おー。良いね。
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- 斉藤さんに差し上げた磁器は、水洗い大丈夫ですので。
- 益田
- カフェオレボールでもいいですね。
- 斉藤
- さらに私は籠るやつかな。とてもいい・・・スタジオ籠る時にね。
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- ちなみに、斉藤さんには透き通った赤紅色のイメージがあるので、アザミをあしらった器にさせていただきました。ハーゲンダッツのお器などになさってください。で、益田さちさんは白と青のイメージがあるので、ちょっと汀のように縁が波立っているようなお器にしました。ブールドネージュを添えていますので、良ければどうぞ。