吉田寮食堂春のオールスター感謝祭
- 鍵山
- 最近私は吉田寮食堂春のオールスター感謝祭の準備で忙しくしています。昨日は打ち入りでした。いざ顔合わせをしてみたら、幅広い年齢層の人たちが集まりました。お互い名前は知ってたけど話すのは初めてと言う人が結構いたので良かったです。
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- 色んな人が集結してますよね!感謝祭当日も賑わいそうですね。
- 鍵山
- 今回の感謝祭は食堂酒場の人にもイベント期間中にお店を出してもらうし、この間の三文オペラの時に闇市マルシェをやって頂いた方にも引き続き行っていただけることになって。最近は本当に、吉田寮にべったりですね。うん、今の状況になってからは特に。
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- なるほど。
- 鍵山
- もちろん学校の仕事も忙しいし、クラブも充実はしてるんですけど。今日はこの話がしたいです。
立命館中高演劇部
立命館中高には、元々演劇同好会が存在していましたが、2003年度に”部”に昇格し、現在の演劇部がスタートしました。発足当時は部員も少なく休部時代もありましたが、徐々に活発になり、現在は常に30人を超える大所帯になっています。2004年度から中学生の受け入れを本格的に開始し、中学の大会にも参加するようになりました。現在では、OB・OGも様々な場所で活躍するようになってきています。 中高一緒に仲良く活動しています!(公式サイトより)
吉田寮食堂春のオールスター感謝祭
2019年3月22日(金)-3月24日(日)、吉田寮食堂にて開催。ご予約はいりません。 カンパ制:本イベントの収益は吉田寮存続のために寄付いたします。 吉田寮の存続が不安な状況の中で、過去・現在・未来の吉田寮食堂使用者団体で集まって演劇を中心としたイベントを行います。吉田寮という場所は、寮生・京大生・大学生のみならず、京都中・関西中の文化活動に関わる人間にとって、はるか以前から文化活動の中心のひとつとなってきました。現在もその役割を果たし、京都の表現活動に貢献し続けています。今もこれからも様々な人を繋げる場であり続けることを発信していきたいと思います。(公式サイトより)
バトン
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- 吉田寮食堂春のオールスター感謝祭について、是非、三日間続けて拝見したいです。
- 鍵山
- ぜひー。どの日も本当に素敵で見逃せない演目があるかと思いますので。
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- 楽しみです。そもそも私、劇団衛星の団員なので必ず行くんですけどね。さて、今回の壮大な企画ですが、経緯を教えていただけないでしょうか。
- 鍵山
- 吉田寮食堂大演劇「三文オペラ」のプロデューサーである小林欣也さんが去年企画した「今」に、陣内幸四郎さんと平林君が受付で初めて会って話したみたいなんですね。陣内さんも吉田寮の今の状況についてずっと心配していたから、僕たちも何とかしようという話になって、そこから企画がスタートしました。だから本当に、欣也さんがバトンを繋いでくれた形なんですよ。子供鉅人の益山さんへのバトンと同じく。
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- 運動というのは、伝わってこそ。ですね。
- 鍵山
- もともとあの空間を愛していた人というのは本当にたくさんいるんですけど、いま本当に盛り上がっています。食堂会議に行っても新しい企画がたくさん出ていて。週末に少し顔を出すと絶対に何かイベントをやっているんです。本当に色々な人が出入りしていて、近所の子供もいるし。
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- そういう文化のるつぼでもあるんですね。
- 鍵山
- すごく開かれた場所だと思うんですよ、国籍も文化も入り交じった場所なんですね。誰もがそこではリラックスしていられると思うんです。でも同時に、そこには確かな気遣いもあるんですよね。常に色々なことがアップデートされていて、みんなが冷静に考えを交換してるんです。
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- 私は吉田寮に2回しか泊まったことがありませんが、でも最初の朝はものすごく印象に残っています。静かで、色々なものがあるのに嘘がなくて、澄んだ場所だった。
- 鍵山
- 吉田寮で気づいたら一晩過ごしていた、なんてことありますよね。玄関先でもゲーム部屋でも。
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- 吉田寮食堂はリフォームしたから、昔とはかなり雰囲気は違いますけど、中を流れている空気は同じですよね。
- 鍵山
- そうなんですよね。吉田寮食堂はちゃんと立て替えて安全なのに、先日の通達で立ち入り禁止だなんて言われちゃって・・・前の総長さんの時に、吉田寮食堂を建て替えて現棟にも手を付けるということが決まったはずなのに。
あの場所
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- 今回の件は、ちょっと辛いですよね。
- 鍵山
- 辛いですよね。一般的なテレビや新聞の報道って大学側のことばっかりしか言わないから。例えば世間一般の人って、寮生が危ないのにわがままでい続けているみたいな捉え方する人が、当たり前だけどいて。それは違うぞという思いがあります。元々、寮生の方から建物の安全性については京大側に訴えていたのに。
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- 私が知っている限りでは、10年以上前からですね。
- 鍵山
- 今回は話し合いもなくなったのでそれがちょっと悲しいです。この間の大学当局からの声明では、今の自治のあり方が時代に合わないみたいなことを言ってましたけど、いやいや知らないでしょうと。いかに時代や、入寮する人に合わせてやっているかということを知らないんじゃないか。会議に時々参加すると、本当に皆さん穏やかで賢いんですよね。本当に偉いなあと思って。焦って極端な行動に出ようとする人はいないんです。丁寧に議論を積み重ねるんです。昔の学生運動みたいに先鋭化してしまったのとは違う。
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- 学生自治を軽く扱ってしまうということが、どれだけ酷いことか分からないんだろうかと思っています。大学側がどうこうしていい問題じゃないのに。これは無茶な置き換えかもしれないけど、これが例えばアメリカの伝統のある私大がこんな事をしたとしたら、少なくとも州単位の問題になってるに違いないんですよ。アメリカにおける大学の存在なんて若者だけのものじゃなくて地域にとっての重要な機関なんだから、デモが発生してもおかしくないんですよね。というかそもそも、「自治」の姿は誰に決められるものでもない。自治、ひいては自立が、なぜか管理者から許容されなければ存立出来ないものにいつの間にかなってしまっている気がします。それに反発心を持たない世間一般の人って・・・どうなんでしょうね。
- 鍵山
- うちの学校(立命館中高)は生徒の自治というものを昔から大事にするという風土があって。中高で発達段階は違うけど、高校生ぐらいになると色々なことを自分たちで全部企画して、それを先生達と交渉しながらやっていくという文化があるんです。教員だったらその大切さをみんなわかってるはずだと思うんですけど。でも、先日大学の教授会の有志による、大学当局への疑問を投げかける声明がありました。やっぱりそう思ってる方は多いと思うんです。大学の中の事は分からないですけどね。
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- ええ。
- 鍵山
- それと、私が学校の先生をやっていて、普段子供たちに関わっているということ、吉田寮の問題に関わっていること、演劇に関わっていること。このモチベーションはすべて一緒なんです。生徒達が色々な価値観に触れて成長していく過程を大事にしたいんですね。そういう環境を保ちたいんです。それは普段の教室でもそうだし、演劇部でもそうだし。吉田寮と吉田寮食堂は理想的な場所だと思うんです。例えば文科省が言ってたりする「多様性の尊重」「共生社会の形成」という意味でも。
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- 見えてないということはないと思うんですけどね。
- 鍵山
- ただ、実はちょっと楽観視しているところがあって。人があって場所があったら、いくら大学側が管理を強めたとしても同じものを立ち上げていけるんじゃないかという勝手な希望があって。少なくとも新棟があるので。2月12日の大学側の声明はがっかりしたんですが、新棟もまた徐々に、現棟とは違った、いや一緒と言えば一緒なんですけど、吉田寮の空気になってきていて。麻雀スペースもしっかり出来てて、先日そこで麻雀しました。欣也さんと益山さんがインタビューを受けてたんですが、益山さんが建物を大事に思っていて、欣也さんは自治が大切だと言ってたんです。私も、建物はもちろん素敵なんですけど、やっぱり人がいて場所があれば、と思っています。
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- そうなんですね。私は建物大事派だな・・・あそこは保全しないといけないから、本当ならお金を出さんといけないんじゃないかと思う。特に中庭。
- 鍵山
- そう、中庭はね。
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- 吉田寮に初めて泊まらせてもらった朝、中庭に足を踏み入れた事を思い出しました。京都であんな場所が!って感じでした。
- 鍵山
- 初めて吉田寮の中に入ったのは大学に合格後に見学に行った時です。廊下を猫が歩いていたのが印象的でした。
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- そうなんですね。私が初めて吉田寮食堂に入ったのはケッペキの新人公演だったかな。福田恵さんが出てた。
- 鍵山
- 私、衣装やってました。
伝説
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- 今回の吉田寮食堂春のオールスター感謝祭。思い入れのあるプログラムを教えてください。
- 鍵山
- それはもう全部ですね。私が演劇を始めた初舞台が吉田寮食堂だったので、まずその時点で思い入れと思い出があるので。
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- ですがまずは、伝説の√12がありますよね。
- 鍵山
- そうなんですよ。私も演劇を始めたばっかりの頃に√12を見ていて。中身は何も覚えていないのにすごく楽しかったことだけ覚えています。
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- 私もバリエで一度見たことがあって。もしかしたら初めて劇場で見たシュールギャグだったのかもしれないんです。
- 鍵山
- 今回は昔演劇をやっていた人、もしくは京都じゃないけど今でも演劇をやっている人、とにかく色々な関わり方をしている人に来ていただこうと思っていて。とにかくたくさんの方が二つ返事で引き受けてくださったのがすごく嬉しいです。
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- とても楽しみです。
- 鍵山
- 桐山さんとか、三つぐらいに出演されるんじゃないかな。逆に、ニットキャップシアターさんなんかは今まで食堂で一度も公演してなかったんですよ。
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- そういえばそうなんですよね!そういえば記憶にないなと思ってて。出来たらこの感謝祭以降も、バトンをつなぎたいですね・・・。
- 鍵山
- そうですね、次々とやっていて欲しいです。
吉田寮食堂大演劇「三文オペラ」
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- しかし吉田寮食堂大演劇「三文オペラ」面白かったですよね。
- 鍵山
- 人生で三本の指に入るくらい衝撃的でした。安住の地の岡本昌也君は全ステみたそうです。
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- それはもうファンですね。
- 鍵山
- 色々なことをひっくるめて、益山さんはすごいなと思ったし欣也さんはすごいなと思いました。子供鉅人は古野くんのおかげでずっと見てきているんですが。
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- 私もかなり前から見ています。精華小劇場で公演してた頃ぐらいから知ってます。
- 鍵山
- 精華小劇場!
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- ねー、劇場というのはあまり残してもらえないものなのかな。
- 鍵山
- その地域の中でどれだけ価値があるものか、ヨーロッパではものすごく価値のあるものとして受け入れられているのに日本ではあんまりですよね。劇場は芝居の公演会場としてただ使われるというものだけではないのに。
質問 小野村 優さんから 鍵山 千尋さんへ
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- 前回インタビューさせていただいた、小野村優さんからご質問をいただいてきております。「人と関わる時に気を付けてることは何ですか?」
- 鍵山
- いっぱいあるんだけど、例えば初めて会う人と関わる時、できるだけその方の考え方とか受け止め方とかを素直に受け止めるようにしたいです。一度、自分をまっさらにして。って口で言うのは簡単ですが難しい。
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- 相手のおっしゃっていることを素直に受け止める。
- 鍵山
- 私もついつい思うところがあって「でもそれはちょっと違うんじゃない」と言ってしまいがちなんですけど、できるだけそうならないように。そうすると自分も広がるし。という事かな。あとは、人に対しての態度ということではないですが、最近はできるだけ色々なタイプの方と関われるといいなと思っています。
質問 にさわまほさんから 鍵山 千尋さんへ
ジェンガ
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- 今日はですねお話を伺えてお礼にプレゼントを持って参りました。どうぞ。
- 鍵山
- ありがとうございます。嬉しい。何か凄い、大きい。重たい。(開ける)あはは。わー凄い。ありがとうございます。ジェンガや。これは、遊びます。
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- よろしければ寮食で遊んでください。
- 鍵山
- 部活の合宿にも持っていきます。