演劇人にインタビュー 頭を下げれば大丈夫
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演劇イベント、リンクス。

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願い致します。石田さんは最近はどうでしょうか?
石田 
そうですね、最近仕事がめっきり忙しくなって。イベント関係の事があまり出来なくなって。
__ 
演劇イベント、リンクス。やっていた時はもっと忙しかったでしょうね。
石田 
同時に、もちろん仕事していまして。どちらも詰め込みでやっていました。
__ 
演劇と仕事、どちらが大事ですか?
石田 
演劇です。
演劇ソリッドアトラクションLINX'S

45歳サラリーマンの僕が観劇の中で出逢ってきた、キラキラした劇団たちを学生、社会人、子供も大人も演劇を見る人も、普段足が遠い方も共に体感しようという劇団たちをずらり並べた演劇イベント。2009年から大阪にて5回上演。2012年には東京公演を敢行。1967年生まれのサラリーマンが巻き起こす演劇ソリッド・アトラクション!それが、LINX'S !!!!(こりっちより)

【LOVE】

__ 
石田さんが主宰するリンクスという演劇イベント。私はこれまで4回ほど拝見しました。大変盛り上がるイベントで、今年2月の「NonStop to TOKYO」 が最新のイベントですね。
石田 
ありがとうございます。いまはイベントは出来ていないのですが、今までに関わった人たち・新しく出会った人たちの劇団の稽古場にお邪魔して、その様子をtwitterとかSNS、ブログ「日々幸進(http://ameblo.jp/mkca/)」で伝えています。
__ 
いいですね。
石田 
僕が載せた情報を見て劇場にいらしたという方もいるんですけど、僕の活動をみてあまりいい気がしない方もやっぱりおられると思うんです。この活動、賛否両論だと思うんですけど、どう思われますか?
__ 
そういう人は石田さん個人が嫌いなんじゃないですかね?
石田 
ああ〜あはは。僕の事が嫌いなら嫌いでいいんです。でも、僕はそういう人とちゃんと話したいと思ってるんですよね。
__ 
いや、きっと誠実な活動であるとか、ひたむきさが届けば、認め合えるとは思うんですよ。きっと。私もそうだったので。
石田 
そう言って頂けると嬉しいです。僕の動きの原点は【LOVE】なんです。大好きである事。何を言われようが、僕は好きな人の為に動けるんですよね。人の道に外れなければ、何をやってもいいかなと。もちろん、批判される事はあるんですけどね。
__ 
リンクスという個性的な演劇イベント、確かに拒否感を持つ人はいますよね。私も当初そうでした。
石田 
あは〜(笑う)。
__ 
そして同時に、「こういう人が好きだなあ」という感情も強かったんですけどね。その感情が最も強かったのが、最後のリンクスのテーマソングの合唱。演劇のショーケースなら、一つ一つの世界観を大事にしたいという気持ちと、イベントなんだから盛り上がって嬉しい、という二つの感情が温度差を持ちながら同居していたというか。
石田 
なるほど。
__ 
個人的には、ショーケースとして構成が非常によく出来ていたイベントとしては、スイス銀行 のイベント「スイス金鉱」が凄く良いなと思った事があります。3つ程度の団体の作品がランダムに出てきたりして、途切れないんですよ。リンクスでは、上演の幕間の暗転が、ちょっと流れが切れていたんですよ。芝居の内容はとても良かったんですが。
石田 
見せ方の問題という事ですね。
__ 
そう、まさにそうです。
演劇ソリッドアトラクションLINX’S「NonStop to TOKYO」

公演時期:2013/02/14〜18。会場:世界館。

演劇ユニット スイス銀行

嶋田典子・久野麻子・枡野幸宏による演劇ユニット。「お客様の信用と信頼を大切に」上質な会話劇を年1〜2回公演する心構え。時折イベントとしてCafe Liveなども展開する(予定)(公式サイトより)

リンクしてクロスする

__ 
これまでリンクスを何度も開催して、色んな思いがあると思いますが・・・。
石田 
2009年の11月から8回のイベントを開催しました。今はイベント活動は出来ていませんが、僕は今もリンクスを続けているんですよ。
__ 
?というと。
石田 
その名の通り、リンクしてクロスする、という事で、人と人を紹介する事をさせて頂いているんです。これまでの繋がりから色んなところに顔を出していて、例えば劇団さんからこれこれこういう役者を探している、だったり。または、客演したい俳優がいるんだけど何か知らないか、だったり。全部が全部うまく行くとは限らないんですが。
__ 
もしこの世が事務所や劇団だけだったら難しいですよね、新しく個人同志の繋がりを作るのって。石田さんならではの仕事かもしれませんね。
石田 
面白かったのは、independentの一人芝居フェスでの中嶋久美子さんの作品。その時中嶋さんはムーンビームマシン所属だったので、Sarahさんに脚本をお願いしたかったそうなんですが、本公演の準備で忙しかったらしくて、僕に声を掛けて頂いたんです。正統派ヒロインの役回りが多い中嶋さんがは実は、ピュアな天然ボケの人だと僕は知っていたんですよ。なので、はちブラ(はちきれることのないブラウスの会)の二朗松田さんの脚本が良いんじゃないかと。で、演出は誰がするのが良いかと言ったら、泉寛介さんが自分の感覚に合うんじゃないかと。二朗さんが言われ、そこで会える段取りをしたらお互いの気持ちも一致し、トライアルを通す事に。あれよあれよという間に、トライアルでは見事一位になって、本戦でも出場、またその評判がすこぶる良く、その後はその作品で全国ツアーに巡られていて・・・。そういう出世魚のような作品に少しでも関われました。
__ 
石田さんのそうした活動を私は単純にリスペクトしています。
石田 
ありがとうございます。でも、たまたまです。もちろんリンクスのイベントや、他のイベントでの出会いを通して新しいユニットが出来ていって。そういう機会を提供出来たというのは僕の誇りです。

コレはホントに凄いぞ

__ 
石田さんが演劇に出会ったのはどのような経緯があるのでしょうか。
石田 
二十歳ぐらいのとき、友達が劇団に入ったんです。これ実は、LINX ’ S のテーマ曲を作ってもらった僕の高校時代の友人、JOE BLUES(T∞Virus) なんです。そしてその劇団というのは「マッドエンジェルス」というRock Musical 劇団なんですが、(故、我王銀次氏の基、祭健太氏、角谷芳徳氏、率いる、Rock Musical 劇団)その公演に行ったのが初めてです。もちろんめっちゃ面白かったんですが、芝居を沢山見るようになったという訳ではありませんでした。ただ、そこに客演されていた伊藤えん魔さんは忘れられません。主役を食うような事ばっかりする悪役で、迷いの森に来てしまった主人公達に道を教えるセリフが「じゃあ教えてやる。この道を真っ直ぐ行ったら豊中庄内の駅に出るから、そこで電車に乗って帰れ」と。ファンタジーからいきなりリアルな話に分断されて。それが強烈に残ってましたね。
__ 
なるほど。
石田 
で、それからかなり経って。上の娘(大牧ぽるん)の学童保育の指導員がPEOPLE PURPLE の団員さんだったんですよ。その縁で、KAVCにまで公演を見にいきました。「龍的雲(ロン・ダ・ユン)」。それがまた、あまりに面白くて、それ以降PEOPLE PURPLEだけは必ず行っていました。ただ、色んな所に行くようになったのは、紹介でストーンエイジ の公演に家族で行ってからですね。また懐が深いんですよ、打ち上げにも行かせてもらったり、宴会で役者さんとも話せたり・・・。その頃、当時やっていた仕事を辞めたんです。
__ 
思い切りましたね。
石田 
そのタイミングで、何故か特攻舞台Baku-団(現ステージタイガー) の「3ツ目ル愛ズ」を見て。それが本当に衝撃を受けたんです。虎本さんの脚本の力で僕は変えられてしまったんですね。コレはホントに凄いぞ、と。その後、色んな舞台を熱心に観に行くようになりました。だから、結果的に観劇熱キッカケは特攻舞台Baku-団ですね。でも打ち上げに呼んでもらって僕の活動フィールドを広げてもらったのストーンエイジさん。そのキッカケ実はあんまり分からないんですけど。当時何もしていなかったのに。でも、制作の方に「いいですよ来て下さいよ」って。
__ 
紛れ込んでいた、という感じなんですね。
石田 
そうなんですよ、でも行ってみたら良くしてくれて。そうした色んな繋がりから、なんと舞台に出演する事になったんです。最初はお手伝いだと思ってたんですけどね。その時に、芸名が欲しいなと。ストーンエイジ主宰の鮒田直也さんに「石田1967(ナインティーンシックスティセブン)」と付けて頂きました。何故かというと、鮒田さんと僕が同じ世代で、「僕ら世代が頑張らないといけないよね」って。最初はピンとこない名前だったんですけど(笑う)、言ってる内に面白いなと思えてきて、今僕は石田1967です。
PEOPLE PURPLE

2000年1月に作・演出の宇田 学(うだまなぶ)を中心に芝居好きの人間が集まって旗揚げした劇団です。「生でお芝居を見ることのなかった人達にそのおもしろさを知ってもらい、芝居文化を広めていきたい!」という強い思いのもと、神戸を拠点に活動してきました。情熱的な感情を色で表すなら、『赤』。冷静な感情を色で表すなら、『青』。そのどちらも表現するから、『パープル』。「ピープルパープル」って語呂がいいので決まりました。略して「ピーパー」です。(公式サイトより)

劇団The Stone Age!!!

1998年、夏――。大阪シナリオ学校卒業生で立ち上げた劇団「SALT MAKERS」解散後、鮒田を代表とし、坂本・緒方・中井の4人で劇団「The Stone Age」を旗揚げする。現在劇団員は、アサダを加えた中年男5人と閑社明子(制作)の6人。橋の下、この世とあの世の境目などを舞台に一幕で展開するオモロ儚い作品を上演。また、悪の秘密結社ショッカー、倒産寸前の女子プロレスなど特異な世界の人々の熱血を描く青春ドラマチックコメディも手掛ける。目指す作品は笑いとドラマの奇跡の融合。2007年より公演活動休止。2010年から新しい公演シリーズを立ち上げ、活動再開。(公式サイトより)

特攻舞台Baku-団改めステージタイガー

超体育会系演劇。俳優達の鍛え上げられた圧倒的な筋肉。それに最大限の負荷をかける事により、人間の奥深くに眠る野生のエネルギーを創出する。そんな超体育会系演劇を目指すステージタイガーは、関西を代表する強く、切なく、そして狂おしい劇団です。15名を越える劇団員で、自主公演だけに収まらず、ライブハウスから廃校まで、年10本以上のイベントにも出演中。今日もあなたの元へステージタイガー。もう、君にムキキュン。(公式サイトより)

MCを置いたワケ

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一番最初に、イベントとしてのリンクスをされる事になったのはどのような経緯が。
石田 
カン劇cock-pitの松本大志郎さんがイベントをやりたいと仰っていて、「どこか劇団を紹介してほしい」と言われました。当時年間200本ぐらい観てたし、僕もこんな調子だから知り合いはいたので。どんなイベントをしようか?という話になったんです。リンクスというネーミングもその時出しました。で、最初に漠然とした音楽のブッキングイベントの演劇版というものに辿り着き、気がつけば続々とそうそうたる劇団さんが出演を引き受けて下さいました。カン劇cock-pitさん、超人予備校さん、ego-rockさん、コメディユニット磯川家さん、えるきゅーぶさん。それになんと、ステージタイガーさん(元 特攻舞台Baku-団)の旗揚げ公演もそのイベントに出てくれたんですよ。
__ 
そうした経緯があったんですね。
石田 
松本さんも作品を作らないといけないので、実質動いているのは僕だけという状態になって。もう何も分からない状態でした。周りの方に沢山教えて頂いてようやく開催できたんです。
__ 
それは石田さんの人徳でしょうね。そして、だからこそ他のショーケースイベントとはノリが違う。
石田 
実は、それまで他の演劇のショーケースを知らなかったんですよ。でも実は東京には昔から長く続けられているものがあったり、大阪にもあったり。もちろん見に行ったんですが、実はもうひとつ・・・だったんですね。というのは、始まる前にブザーが鳴って、団体の名前が出て、上演されて、またブザーが鳴ってという繰り返しで、作品は面白かったのに、僕は退屈を感じたんです。
__ 
分かります。
石田 
LINX'Sは間にMCを置いていました。それはそれで空気を壊すと不評の声もあります。ただ僕は、さっきまで上演されていた作品を消化する時間を共有出来ないかと思ったんです。どんな思いで作ったの?とか、シーンの意味とか、作品をもっと深く知ってもらう為の時間を持ちたかったんですよね。

つながっている

__ 
MCがLINX'Sの肝の部分だと思うんですよ。前の団体と次の団体がまさにリンクしてクロスする瞬間なので。
石田 
僕はお祭り男なので、リングアナみたいに人々を流れに呼び込み続けて行きたかったんです。でもどうしても、時間が無さ過ぎてアイデアやプログラムを切ったりして・・・。最後の歌でも、歌いたくないという人もいたり。それはそれでアリだし、仕方ない、そこも好きなんですよ。その個性を個人個人で出してくれればそれが一番いいと思うので。でも最終的に歌ってくれれば嬉しいですね。
__ 
我儘がぶつかってるのかもしれませんね。
石田 
僕はあの歌、止めないです。
__ 
というと。
石田 
他の演劇ショーケースとLINX'Sが完全に違うのは、「主題歌がある」「MCがある」「アドシバ」がある。これらがあることで、普通のショーケースでは出来ない、人々が交わる時間が実現するんです。歌うのがイヤなのは百も承知、一緒に歌ったら共犯者になれるんです。「あー歌っちまったああー」みたいな。それで繋がりが生まれるんだったら、別に僕は何を言われてもいいです。
__ 
あの歌はウザいですよね。そして、強烈な魅力がある。何か気づいたら歌っちゃってるし・・・何だかんだ言って良いものだと思います。
石田 
02(ゼロニー) の時、最後に虎本さんが「お客さん、最後なんだから歌いましょう一緒に。せっかくだから立って下さい」って、お客さんも立ってくれて、皆で歌ったんですよ演者さんも一緒になって。これめっちゃいい空間だなあと。虎本さんが号令を掛けてくださったから嬉しかったなぁ。
__ 
想像出来ます。
石田 
実は僕も、裏方に専念していた方がいいのかなとちょっと思ってるんです。でも前に出て歌ったり、司会まがいの事をしてます。今日劇場に集まったのは、ただ並べられたものを観に来ただけなのか?そうじゃなくて、このオッサンが好きなもの・人生を変えられた沢山のものを見てほしいんです。それぐらいの力を持つこの人達に、今日出会ってほしいんですよ。
__ 
ええ。
石田 
その為です。僕も、ちょっと会社の仕事がハイペースになっても諦めずにきました。公演の宣伝も、チラシを800カ所ぐらいに置かせてもらったり、ブログにチラシを持って誰かと写ったりを1000人ぐらいさせてもらったり。いっぱい断られましたね。でも、ブログのアクセスは激増して、それで見に来てくれたお客さんもたくさんいました。これは普通の劇団には難しい事だと思うんです。そして、今後も僕がやるから意味のあることをやりたいと思っています。
【LINX’S 〜02(ゼロニー)公演〜】

公演時期:2010/12/16〜19。会場:in→dependent theatre 2nd。

質問 末山孝如さんから 石田1967さんへ

__ 
前回インタビューさせていただいた、末山孝如さんからの質問です。「好きな時代劇俳優は誰ですか?」
石田 
役所広司さんです。宮本武蔵がカッコ良かったからです。

全国へ

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
石田 
2年後ぐらいに復活したいなと思っています。実は仕事でしばらく大阪を離れるんですよ。年末ぐらいまで。ですから、しばらく関西の芝居が見れないんですよ。それが残念です。
__ 
残念ですね。どこに行かれるんですか?
石田 
全国各地ですね。しかも夜勤。でも、戻ってきた頃には全国で会ってきた劇団の話ができると思います。僕が色んなところで何をするか、未知数ですね。でもそれで何か面白い事が出来たら凄い事だと思います。

メガネのストラップとメガネ拭き

__ 
今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントがございます。
石田 
ありがとうございます。開けても・・・?
__ 
もちろんです。
石田 
(開ける)これは・・・?
__ 
それはですね、超高級メガネ拭きです。
石田 
えぇっ!?熱っ!
__ 
と、メガネのストラップです。
(インタビュー終了)