梅田にて冬
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- 今日はどうぞよろしくお願いします。最近、しらとりさんはどんな感じでしょうか。
- しらとり(以下、しら)
- よろしくお願いします。最近は、丸山交通公園さんの企画している、オール京都という団体の制作についていて。稽古に行ったり会議をしたり。
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- 「オール京都」。
- しら
- 本当にオールなのかという感じなんですけど。「沼楽屋大爆発」 という作品で、面白いんですよ。後はもうずっとバイトをしています。
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- ああ、ギアのスタッフなんですよね。
- しら
- そうですね。そっちは色々と、難しいところもありながら楽しく仕事をしています。当日運営だけではなくて、公演に関する仕事もさせてもらったり、勉強になります。
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- おお、凄いじゃないですか。
てまり
“てまり”は 演劇がいまいちわからなくなってしまった「しらとりまな」が、原点回帰を目的に始めたごく私的な企画のようなものである。 その名前は「いろいろな色の糸が絡まり合って、ひとつの球体をつくるような作品がつくりたい」という理由からつけられた。 ここでは女と男の話をすることになるだろう。 等身大の、ダサくてサムイ作品づくりを目指している。
丸山交通公園ワンマンショーとオール京都「沼楽屋大爆発」
公演時期:2017/1/21~23。会場:立誠小学校音楽室。出演:丸山交通公園 石田達拡 小林欣也 西村花織(劇団しようよ) ピンク地底人2号(ピンク地底人) 山下ダニエル弘之 横山清正(気持ちのいいチョップ)他
本当は話したいの
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- しらとりさんのてまり。最初の公演『おそらく深夜』 から10ヶ月が経ちました。女の子の夢の話でしたね。面白かったです。
- しら
- そうですね、妄想をオムニバス形式でまとめた作品でした。わたしがいつもしている妄想を舞台に乗せるというだけの、恥部晒し舞台みたいな・・・
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- いえ。伺いたいんですが、しらとりさんにとっては、自分の妄想を他人に見せるというのはどういうことなんでしょうか。
- しら
- 基本的に、わたしはあんまり人と話すのが得意ではないんです。心の壁も厚くて、知人には常にATフィールドを全開に張っていると言われているくらいで。自分のしゃべくりが面白いと思えなくて、喋りたくないんですけど、でも作品という形にパッケージしてしまえば、作品として人に話せる気がする。本当は聞いて欲しいんだけど言えない話がたくさんあるんです。
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- 一旦体裁を整えたいということですね。
- しら
- そうですね、そうしたら許されるなと思って。
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- 言えない事を言うと離れられてしまうかもしれない。けれど、聞いてほしい。だから作品にする。
- しら
- わたし対誰かのお喋りだったら、「あなたのことがわからない」とか「変わってるね」で終わってしまうことも、作品にすれば、ひとつの作品として語ってもらえるようになるんじゃないかなと思うんです。
てまり第一回公演『おそらく深夜』
公演時期:2016/2/25~27。会場:シアターカフェNyan。
受け止められないわたし
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- なぜ自分のことを打ち明けずにいられないのか。そこはどうですか。
- しら
- たぶんわたしは、自分のことを隠しておけないおしゃべりなタイプなんですよ。小学校の頃まではそれで許されてたんです、自分で台本を書いてみんなで演劇ごっこで遊んだり、なんでも好きなことに挑戦できました。でも中学生になると違ったんです。学区の関係で町中の中学校に行くことになったのですが、そこでは受け入れられませんでした。小学校の頃と同じ感覚で発言してたら、総スカンにあって、イジメにもあって。中学2年生から卒業するまでは保健室登校で、不登校の時期もありました。そこから、自分の思った通りに喋ることにすごい恐怖を抱くようになって。小学校の頃の、自分の発言を自由にしていた頃が自分にとっては、理想で楽なんですけど、今の自分とそことのギャップがしんどくて。あの時のように自分の妄想を形にしてみせることが精神の安定につながるような気がしています。
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- 自分の発言ができていた頃に戻る。
- しら
- 戻るというか、苦のない状態になるために何かを書いたり舞台に立ったりしてるのかもなあと思います。
わたしの場所
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- しらとりさんの妄想。どこから来るものなんでしょうか。
- しら
- クリスチャンの家系で、わたし自身もそうなんですけど、だからか、人間と神様がいるの世界にあまり差を感じていないんです。実はわたし、生まれるまでの記憶があるんです。お母さんのおなかの中にやってくるまでの記憶や、お腹の中にいた頃の記憶がおぼろげにあって。そういうところにわたしの原点はあるんだと思います。割とスピリチュアル系なんですけど・・・現実的なのに夢見がちというか。
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- 心の中にそういう場所があるということですね。
- しら
- そうですね。幸福なことだけではなく、不幸に思うことも全て必然だと思っていて。中学生の頃や、ここまで来るまでに「生きていたくない」と思ったことが何度もあったんですけど、そういう時期を必然と捉えられたのは、どこかに救われる場所があるからだろうなと思います。
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- 原点がある。戻れる場所がある。
- しら
- そうですね、困った時に帰れる場所があるというか。
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- どんな苦境にあったとしても必ずつながっている部分があるということですね。
今年は、どんな年だった?
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- しらとりさんにとって、今年はどんな年でしたか。
- しら
- 今年は本当に出会いの年でしたね。次の企画の丸山交通公園さんとも今年の出会いでしたし。てまりの公演の時にとにかくいろんな人に招待を出したんです、見てもらえなかったら評価してもらえないと思って。丸山交通公園さんとはその時に出会いました。
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- なるほど。
- しら
- 丸山さんが、笑の内閣に出演する女優を探していた制作さんにわたしの名前を出して下さったらしくて、そこから笑の内閣に出演させてもらいました。そこで、横山さんとか髭だるマンさんとかとも知り合って。今まであまり付き合ってこなかった人たちに、今までされなかったような可愛がり方をしてもらったり。飲み会とかいろんな集まりに行かせてもらいました。わたし、学生劇団とかすごく羨ましかったんです。今の付き合いって、そういう感覚に近いのかなって思ってます。とても幸せだなと。わたし、大学は女子校で、夜は演劇学校に通っていたのでサークルにも入ってなかったし、その演劇学校でも結構ツンツンしてたんで。
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- それは丸くなったのかもしれませんね。
- しら
- そうですね、大人になったのかも。大事にしたい出会いだなと思います。
来年はどんな年にしたい?
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- 来年はどんな年にしたいですか?
- しら
- 来年は絶対に自主公演をします。夏か、秋ぐらいには新しく一本書こうと思います。必ず1年に1回は何か書かないとぶれそうなんで。自分の創作を、ちゃんとしたい。来年はそれを目標にします。
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- それはどんな場所でもどんな形でもいいから上演した方がいいですね。どんな作品にしたいですか?
- しら
- とりあえず死にます。最初は映像にしようと思って、なんとなくの筋書きは書いてて。千葉の海に行ったんですけど、荒れてて入れなくて、断念して・・・。
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- なるほど。
- しら
- まあ、自殺は現実の自分にはできないので。好きすぎて傷つけたくなるようなこと、あるじゃないですか。でも、相手がこっちのことなんとも思ってなかったら、傷つけるってかなり難しい事だと思うんです。幼稚なんですけど、その人を理由にして死んだら少なからずショックかなって。
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- 復讐は自殺の大きな理由ですからね。
- しら
- その方法が見つからないから、死を選んでいる、みたいな。
詩
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- 最近ちょっと、エゴイズムとサービス業に興味があって。その二つは全然反対のものなんですけど、お客様にサービスをしたいと思った時に、それが果たして本当にお客様のことを考えているかどうか。これは永遠の課題だなと思って。
- しら
- はい。
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- そういう葛藤を乗り越えなければならないところにサービス業の難しいところがある。で、そこを乗り越えて、心の中に絶対に山のように動かない大きな部分を持つことができれば、それがサービスマンの完成した姿であり、侍なんじゃないかと思う。反対に、単にエゴイズムだけのサービスやパフォーマンスは、もう見ててすぐわかるんですよ。なぜならこちらがどういう気持ちになるのか想像されていないから。
- しら
- 2月の公演も、どこまで書いていいのか分からなくなった時期がありました。書こうと思えばいくらでも相手を傷つけることが書ける。でも、そうするとただの攻撃にしかならない。わたしはあの作品をラブレターにしたかったんです。そういうつもりで書いていて。でもやっぱり面白いのはスキャンダラスな方が面白い。噂話とか恋バナとか楽しいじゃないですか。過激な方が。でもそれをどこまで書くかって言うことにすごい悩みました。結果、そこを解決する方法が詩を書くという事でした。言葉を選ぶ作業。
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- 言葉を選ぶ、というのはそれだけで聖なる作業だと思いますよ。
- しら
- あれは難しかったな本当に。
笑の内閣「ツレがウヨになりまして」
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- ツレウヨ、意気込みがあれば教えてください。
- しら
- ツレウヨの公演自体は見てないんです。でも話題になっているのは知っていました。たくさん歌を歌うシーンがあるらしいので、食い込んで行けたらと思っています。歌いたいです。初めて一緒に舞台に立つ人も多いので楽しみです。
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- 一石を投じますね。ソウル公演は特に。4月に行くんですよね。
- しら
- パスポート取りに行きました。今は「楽しめたらいいな」というぐらいの気持ちです。
第24次 笑の内閣「日・韓・米・春のツレウヨまつり」
公演時期:2017/4/21~22(ソウル公演)、2017/5/17~29(京都公演)。会場:ソウル公演未定、アトリエ劇研(京都)。
質問 坂井 美紀さんから しらとりまなさんへ
星のある旅行
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- 旅行するならどこに行きたいですか?
- しら
- どこに行くかより誰と行くかの方が重要かなあ。
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- 確かにそっちの方が重要ですね。一人でどこかに行くなら?
- しら
- 本当にわたしインドアで・・・光線過敏症という皮膚疾患があって、簡単に言うと日光のアレルギーなんですけど。なので、できれば太陽に当たらずに生活したいんですよね。でも、そういうの無しに考えるなら、一回行ってみたいのは、南極かな。わたし小さい時に南極観測隊になりたかったんですよ。寒いところが好きだし、隕石拾いたいです。
「てまり」
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- ちなみに、「てまり」というネーミングはどこから来たんですか?
- しら
- これはわたしが小さい頃から使っている自分の中だけのペンネームなんです。毬の感じも好きで。で本当にできるかどうかわからないんですけど、いろんな色の人をひとつの球体にするような、そういうこともできたらいいなと思っています。
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- いいですね。そういう場所になれば、とてもいいですよね。
- しら
- 「てまり」になると、楽なんです。居心地がいいなあ、と思います。役者や脚本家や演出家、にはなれないので。「てまり」と呼ばれるのが好きです。
もっと色々が
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- 今後どんな感じで攻めて行かれますか?
- しら
- てまりの中では、無理して作らない。必死で無理して面白くないものを作りたくない。てまりの中では自分に建前をつけないと言うか。折角そういう場所を作ったんだから、こうしないといけないとか人がこうしたら喜ぶとかじゃなくて、自分がこうしたいという思いを大事にしたいですね。
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- てまりを、逃げ道にするのではなくて、自分がこうしたいという目的のために使うということですね。
- しら
- そうですね。理由があって作った場所なので。そして、呼んでもらえたら色んな場所に行きたいです。色んなオファーがあればいいなと思ってます。色々挑戦したいですね。そんなに上手じゃないんですけど歌うのも好きなのでもっと色々できたら。
髪留め
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
- しら
- あ、噂の。何がもらえるんだろうと思って楽しみにしてきました。開けてもよろしいですか?
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- もちろんです。
- しら
- ありがとうございます(開ける)。あ、可愛い。使いますこれ。髪留め欲しかったんですよ。可愛い。