カレーの話
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- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。ネコザポンティさんは最近、いかがお過ごしでしょうか。
- ネコ
- よろしくお願いします。最近はですね、僕は料理が趣味で家でもよく作るんですね。このところカレーをスパイスから作ってるんですけど、なかなかうまくできないんですよ。
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- スパイスから作るんですか!
- ネコ
- スパイスカレーが好きなので。いかに美味しいカレーを作れるか、探求中です。でもなかなかどうして、自分で「これだ」と思う味に出会えないんですよね。自分の味、というものに。
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- 自分の味に出会えたら良いですよね。
- ネコ
- 機会があれば大阪や京都のカレー屋さんに食べに行って勉強するんですけど、行くたびにどこも美味しいんですよ。で、いざ自分の作るカレーはまだ方向が定まらない、なんて。
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- そうですね、店には店の味がありますよね。
- ネコ
- それぞれの店に美味しい個性があるので、じゃあお前の味は何やったん、ってなるから・・・
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- でも、自分の味に出会ったら一瞬でわかりますよね。私にも自分の料理があるので。それを偶然に作った時に、これだ!と思いましたから。
- ネコ
- 「まさにこれだ!」と。
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- ただ、完全な再現はできないですよね。レシピ通りに再現が出来るかと言えば・・・
- ネコ
- そう考えるとプロはすごいね。
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- どんな状況や材料でも同じ味が生み出せるんですからね。
- ネコ
- 昔、ある有名なお店にお金を貯めては食べに行ってて。素敵な方がやっていて、例えば同じ煮物を作るにしても準備や時間を丁寧に扱えばこんなにも味が違う。あとは、空間も含めての料理だとか。なんか、いい経験でした。
よいとな
『ある映画』での出会いがキッカケで知り合った二人が、2015年末より立ち上げた「演劇ユニット」。 「演劇」と書いてはみたものの、踊ったり、フワフワしたりして、あんまり意志の強さは感じられない二人。 「腰は重いが、フットワークは軽い」という、アンビバレントな精神構造を共通にもっている。 狭い場所から広い場所まで、また、短編から長編まで、周りの人に助けてもらいながらも、幅広く舞台を重ねることを目的に活動している。 今日もわりかし元気に生きてます。 P.S ある映画というのは、コチラの映画。 もしよかったら、なにかの機会に観てくれたら、嬉しいな。 (公式tumblrより)
キャパシティせまめ
役者ネコ・ザ・ポンティと中嶋久美子によるパフォーマンスユニット。(公式tumblrより)
よいとなの自由研究
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- よいとなの自由研究。よいとなが上演した作品、タイトルは「Tightrope Dancer」でしたね。面白かったです。
- ネコ
- ありがとうございます。
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- ただ、明確に感想を言えるわけじゃないんです。例えば「プリンター機器ってみんなの悩みだよなあ」とか「演劇をやっている人はお金も時間もなくても、周りの人と上手くやっていくことでなんとか生活と創作を両立できる。都合の調整があるけれども。そういう生活を四角く切り取ったらきっとこうした作品になる」「でもその人は周囲からは都合のいい人として扱われているんじゃないか」とか。生活者と創作者の間の綱渡りを見せてもらったんですよね。いや、切り取らなくてもいい一コマを切り出すと言うか。すごく趣味の良い冒険だなと思いました。
- ネコ
- 単純に嬉しいですね、そういう風に思ってもらって。今回の作品はよいとなの脚本・演出である殿井 歩さんが去年書いて上演した作品をブラッシュアップした再演です。稽古や対話の中で、変化はしていってるんですけど。
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- そうだったんですね。切れ味のある作品でした。
- ネコ
- 殿井さんが面白いんですよ。殿井さんの才能が僕は面白いと思っていて、でも彼女も僕も、いや、特に僕が、演劇関係の方々にはあまり知られていないので、もっとたくさんの人に見に来てもらえたら良いなーと思ってます。今回はどこから始まったかも分からず、いつ終わったかもわからない。でも、実はそこに劇的なことが起きていた、みたいな感想もいただいていて。
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- 綱渡りみたいな感じですね。
- ネコ
- 実は演じている方も綱渡りで、何気ないように見えてたかもですが、非常にスリリングでした。
よいとなの自由研究
公演時期:2017/7/22。会場:恵文社コテージ。
扉
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- ネコさんは役者であると同時にダンサーなんですよね。私がダンサーとしてのネコさんを初めて拝見したのはバー弓子だったと思うんですが、とてもかっこよかったです。非常に鋭角的なダンスだったんですよね。構成的にも優れていたし。ネコさんはFacebookのエントリーで、身体に継続的な興味があると書いておられましたが、身体そのものに対してどんな興味がありますか?
- ネコ
- ああ・・・なんか、インタビューって、ついつい良いことを言ってしまうじゃないですか。いやポジティブな意味でもね。背伸びをしているわけじゃないんですけど、今の自分より、ちょっと開かれた自分を見せようとしてしまうというか。ただその反面、インタビューの怖さって、半永久的に残るじゃないですか。思考や身体は常に刷新されるけれども、言語化して何かに定着させるとそこで止まったように。ソシュールのシニフィアン・シニフィエじゃないけど、どこまで言語で伝わるのかってのは難しいですね。だから、いまから僕が言うのは、ある流れの中での言葉なのでふんわりと捉えて貰えれば、と思うんですが・・・前置きが長くて申し訳ないんですが。
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- いいえ。
- ネコ
- 僕は表現活動に関しては、若い時からずっと継続的に関わっていたとかじゃなくて、ちゃんとはじめたのは最近なんです。普段は医療系の仕事をしています。医療関係の講師としても長く働いているんですが、自分の研究の中では東京にいた当時、心因性の疾患がテーマだったんですよ。で、そのような患者さんに対するアプローチの一つとしての演劇という手法を使っていることを知って、元々、映画や演劇は見るのも好きだったし。ちょうどその頃、僕は人間関係論や生命倫理について教えていたんですね。で、演劇を見ている時に、どういう心持ちでこの人たちはやっているんだろうと、好奇心でワークショップに行ったのが最初です。そこで劇団のステージタイガーに出会いました。そこでは社会人でも演劇をやれると言われたので。今は退団してますが、今でも仲良くさせてもらっています。
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- なるほど。
- ネコ
- もちろん、ヒトって動物はなんなんだろうなって関心は続いていて、その流れでダンスにも入っていきました。劇団にアミジロウと言う先輩がいて、彼がコンテンポラリーダンスをしていたんですよ。出会わなければ知らなかったし。そういう風に扉をあけてくれたのはアミさんでしたね。二人とも、まったくタイプの違う性格なんですけどね。
心と身体
- ネコ
- 人は心も体も一緒だとよく口にするし、特に日本ではそういう風にいいますよね。でも日本でも教育の過程で、デカルトさんあたりからの人間機械論に基づいた一部の西洋の考えがそれこそ身体に強く入ってきているから、実はどこかで心と肉体を感覚的に切り離して捉えているかも。面白い混じり方をした国だと思います。僕のいう身体性っていうのは、もっと生々しく肉体と精神を同一にしているというか。魂は触れ合った場所にこそ宿るって言葉ありますよね。曖昧な意訳ですが。体に関心があるかと言うより、人そのものに関心があるんですよ。
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- これまで取材してきたダンサーの方々は、ほぼ全員、心の事について言及してますね。
- ネコ
- いやあ、僕がダンサーと呼べるかどうかはわからないですけど。心か・・・
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- ダンス踊っているときの心構えはありますか?
- ネコ
- 分からないです。周りによく言われるのが「お前はいつも、訳の分からないことをやってきている」って。本番は基本、いつも楽しいです。演じる事も踊る事も。心構えというか、そんな感じ。
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- 緊張するとかは。
- ネコ
- あ、もちろん緊張はしている・・・いや、していないかも。どういう感じだろう。呼吸をすること。空間そのものを感じること、なのかなあ。
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- その場に身を置くことを感じる?
- ネコ
- あ、確かにそれはあるかもしれません。それは口癖のようになってて。その場にちゃんといる事を大事に。
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- それは逆に言うと、逃げないという事でしょうか。
- ネコ
- いえ、時には逃げてもいいんだと思います。逃げるってのにも色々とあるはずだから。どう言ったらいいのかな。ただそこにちゃんと居ること、その瞬間のためにやっている。でも言葉とか身体って自分一人で作り上げたものじゃないから。色んな人の言葉や身体の影響が、たまたま、いまの僕をこうして喋らせているようなもので。自分一人の力でここにいる、という事はないと思う。
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- 文脈や影響の交差点にいるという事実が人をして喋らせているのかも。
- ネコ
- そうですね。自分がその触媒になっているような。もちろん自分は自分やからさ、自己を捨て去る事は出来ないけれども。例えば、元々僕は総合格闘技の選手もしていたので、お互いのエゴとエゴを思い切りぶつけ合う意味での、文字通りのコンタクトという行為があることも知っているつもりだけど。まるで触媒として反応することができたとしたら、それも良いなあ、と思う。だから、自分で作品を創作するのは、今はあまり好きではないんです。テクストを作るよりはそこにテクスチャー(肌理)としてありたい、というか。作品に質感やレイヤーをもたせることに興味があって。その純度を上げるだけで手一杯。だから僕は人の作ってくれた作品に出たいんですよね。
自分の味
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- 自分の味を発見したら一瞬で分かりますよね。
- ネコ
- さっき言ってましたね。確かに、これだと思うのかな。でも僕は単純だから、別のものを食べたら、あ、これだった!になるのかも。まだまだ分からないですね。演じる事とかも一緒ですね。結構本を読んだり、実際に試したりもするんですけど、毎回、これかなと思ってます。悩みながら。
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- 創作者って複雑ですよね。ゼロから作る人なんてあまりいない。外からの影響が形作る交差点の上で作っている。それでも、自分の味に出会えたら、それがそれだと分かるし、奇跡なんですよね。
- ネコ
- まだ出会えてないのかもしれませんね。カレーに関しても(笑い)。
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- そして、何故、これが自分の味だと分かるんでしょうね。
- ネコ
- そうですよね。それこそ理屈を離れた、身体で分かる事なのかもしれませんね。
質問 芦谷 康介さんから ネコザ ポンティさんへ
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- 前回インタビューさせていただいた、芦谷康介さんから質問をいただいてきております。「死んだ後どうなると思われますか?」
- ネコ
- それは・・・めっちゃ長くなるから。一応、そういう事を生徒と一緒に考える先生だったので。様々な要素があるからサッとは言えないですよね。肉体自体というものは滅びるけれども、魂とか精神というものはどうなるのか。例えば、輪廻というものはあるのか。それとも生物というものは複雑化された化学反応の塊で、それが終了するのが死、なのか。死んだ後はどうなるんだろう。
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- うーん。
- ネコ
- ただ、「死んだ後はどうなるのか」、それを考えるのはヒトだけだといわれています。他の動物は死後のことは考えないとされている。なぜかと言うと、彼らは言語によって未来を語らないから。「明日」や「一年後」、「二年後」という概念がないと、未来に対する不安と期待は生まれないんです。動物にも言語はあるし、種によってはなんなら嘘もつけるんだけど「一週間後にここで会おうぜ」という約束はしない、今を生きているから。全然答えにはなっていないけど、そういう疑問を持つこと自体が人間らしいなと思います。
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- 死んだ後どうあって欲しいか、を考えるのもまた人間らしいですよね。
- ネコ
- そうですね。動物だって死ぬ前に怖がったりする行動をしますが、こんな事を言ったら動物が好きな人に怒られるかもしれませんが、単純に危険に脅かされるという生存本能の反応である可能性が高いです。「死んだ後に自分はどうなってしまうだろう」とか「私が死んでも、不在のままこの世界が続いて行く」という思考はないんじゃないかな。人間ほどの死への恐怖は他の動物にはないのかも。自分が死んでもこの世界が続くということに人間はとらわれるから。ごめんね、こんな答えになって。
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- いえ、ありがとうございます。
ヤクシャとカメラ
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- 憧れた表現とかそういうものはありますか?
- ネコ
- うーん。例えば、初めてプロセスチーズを食べて美味しい美味しいって言ってたら、隣にいたグルメな人が「プロセスチーズなんかチーズじゃないよ、ブルーチーズとかヤギのチーズこそが本物のチーズなんだよ」と。で、食べてみたらちょっと癖が強くて、今の自分じゃまだ味がわかんないです、ってあるじゃないですか。優しさで、本物のチーズの世界を教えてあげたい気持ちもわかる。ただ、本格的なチーズもプロセスチーズも両方食べたらいいじゃないですか。ハンバーグだって美味しい。いや本当の上質な素材は手を加える必要がない、と言うのも分かるけれども、ミンチにしたハンバーグが食べたい日もある。表現もそれと同じで、僕はどっちかにはまだ偏れないなあ、と。個人的にはけっこうマニアックなところがあるので、演技でも踊りでも追求した世界観がけっこう好きだし、自分でもたまに関わっているつもりだけど。ストレートプレイも素直に好きです。なので、選べないです。さっき言ったけれども、僕はプレイヤーでありたいと思っていて。その時その時の作品そのものに純粋に集中できたら良いと思います。
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- 演技は結局、役者が個人で作るものなので、分かりやすい表現であろうがマニアックな表現であろうが、自分自身で作るという姿勢を崩さない限り、その人は良い役者やと思いますけどね。
- ネコ
- そうなれたらいいですけどね。
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- それがそこにいるという事じゃないかなと思います。前々回取材した、門石藤矢さんがそういう事をおっしゃっていて。「いつかどんな演技ができるようになりたいですか」という質問に対して、「分からないです」とお答えになって。演技を因数分解して作り上げることはできるけれども、それに注力してるわけではない、と。もちろん台本はあるけれども、その場その場での反応を大切にして立つのが役者であると。
- ネコ
- 共感しますね。
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- だからこそその人の味が成立するし、そうであって欲しいなと思います。
- ネコ
- そうかもしれませんね。だけど僕は、どこかで「自分だけではない」ということも忘れてはいけないなと思ってます。最近映画に出る機会が何度かありましたが、その時に強く感じたのは、カメラの前に立つんですけど、カメラの後ろ側にいる人たちの影響がめちゃめちゃ大きいなという感覚があって。その人たちの結果がここにある。
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- カメラの後ろとは、撮っている人たち、という事ですか?
- ネコ
- そうですね。その人たちの何か、が結構大きい要素だなと、良くも悪くもですけど。通常はカメラの前では演じる人は孤独であることが多い気がします。やっぱりカメラは暴力に近いな、と。それを言うなら、舞台も、見ている人たちの影響がとても大きくて無視なんてとてもできない。無理にそれをコントロールしようとした瞬間、もはやそれは違うものになってる気がして。それに演じている時は相手もいるし、物理的な相手がいなくても、生々しい空間というか場の存在感がそこにある。もうちょっと開かないといけないのかな、簡単なようで、それはすごく難しいけれども。
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- お客さんも最初は閉じているんですけど、後半に向かって自分を開いて行く、みたいなことがあるんじゃないかなと思います。まあ私がそうなんですけれども。個人の人間として。カメラはそういうことはしないので、役者が孤独を感じると言うのは分かります。
- ネコ
- どうなんでしょうね。僕は表現活動の世界では友達は少ないし、しかも一般的な流れから演劇を始めたわけではないので、今も、演じるということがどういうことか分からない。だから、色んな人と実験とかできたら、と思っています。意外とね、僕は孤独な作業をしてる時間が多いです。この間東京にいるダンスの師匠に言われたんです。「ネコさんは孤島にいて、そこで独自に進化したトカゲみたいなものだから孤独やろうね」と、それはポジティブな意味でいってくれたと思いますが、いやいや僕、色んな人に影響もされたいから。面白がって揺るがしてくれる人がいたらいいな、と思っています。京都とか大阪の表現活動の人と仲良くしたいですよ。作品にも呼んでくれたら嬉しいのにな(笑い)
世界を見るものたち
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- 最近の、踊る上でのテーマ教えてください。
- ネコ
- 見てくれた人がそのまま好きに感じてくれていいので、自分の作品についての解説は普段しませんが。前回のFoURDANCERSの作品にタイトルをつけるなら「往く、過ぎる」でした。それはユクスキュルという生物学者の名前の言葉遊びの意味もあって、彼の環世界(ウムヴェルト)という発想を潜ませて作ったつもりです。作っている過程を見ていた殿井さんからは「他人の夢の中を歩くような作業をしてますね」と言われて、よく当てるなこの人って思いました。それと、この間送っていただいたこのサイトに出た遠藤くんのインタビューで、自分じゃない人の感覚。面白いなと思ってます。環世界も、動物とヒトの感覚はまったく違っていて、ヒトでは可視化できない色を見ることができる昆虫にとってはこの世界はまったく違った見え方をしていて、色が分からない猫にとってはこの世界は白黒で。でもどちらが豊かな世界なのか、と言うのは全く関係ない。世界に客観はなく、それぞれの主観なのだと。ざっくりいうとそんな感じ。
- __
- 地球ってそういう独自の感覚に支えられた生活をそれぞれ持つ種族のガラパゴスたと思うんですけど、宇宙からしたらどうなんですかね。
- ネコ
- ああ、そうやねえ。宇宙にも生物はいるやろうから。
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- いるんですかね?
- ネコ
- NASAも認めていると聞くけど。後はいつ見つけるか、だと。知的生命体がいるかどうかは分からないけど、かつて生命がいた星はあるだろうし、今もいるんじゃないかなと。
- __
- コミュニケーション取れますかね。
- ネコ
- 取れるのかな。全然僕らの常識とは違う生命なのかもしれないし。
- __
- 仮に、もし全然面白くなかったらどうします?
- ネコ
- (笑う)どういう事?
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- 宇宙生命体が発見されるんですけど、それは一見普通のネズミで、そして実際マジで普通のネズミで。
- ネコ
- 確かにそれはそれでビックリするけど。
- __
- なんなら、地球ですでに発見されているポピュラーな種で。
- ネコ
- それはちょっとガックリやな。
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- そいつらだけしかその星にいなくて、生活サイクルとか、別に独特な点はない。もちろん言語とかも全然発達してなくて。何なら、地球上でその星と同じ環境を作ったら、完全に同じ状況になる。その星にとって最大の事件は人間に発見された事ぐらい。
- ネコ
- 逆に面白くなっちゃう。何で特に進化もしなかったのか。
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- NASAは実はその星を見つけているけど、そんなのみんながっかりするから隠してるんですよ。
- ネコ
- なるほど期待させたいからね。ちょっとショボーンやね。
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- まあ真相を言うと、宇宙ステーションが昔事故を起こして、そこでの実験動物とコケとかが繁殖しただけ、なんですけどね。生命なんてそうそう、自然に生れるわけがないですよ。
- ネコ
- 命を作る条件と言うのはやっぱり地球と同じじゃないとあかんのかな。そして、命ってわからんところでさ。死んだらどうなるかという話と逆で、よく授業でも生徒にディスカッションしてもらったんですけど、「生命は、どこからが生命なのか」これは皆さんにも聞きたいんだけど、例えばウイルスは生命と非生命の間にある、とも言われるけど。
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- 難しいところですよね。
- ネコ
- 精神分析もやっている精神科医の友達がいるんですけど、彼とは昔から一番、忌憚のないやり取りをしていて。今二人が興味があるのはAIについての問題。例えば、いまのAIが、めちゃめちゃ進化して発展して進歩したらそれは生命と呼べるのか呼べないのか。AIが生命になる条件、または、絶対にならないとするならそれはどうしてなのか。
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- どうなんでしょうね。スワンプマンですね。
- ネコ
- ある意味、ぽいね。色んな意見聞いてみたいなあ。気軽にこう思うっていうくらいの考えでいいので。
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- 個人的にはAIがめちゃくちゃ進化しても人間の知性に追いつく、という期待はしていません。でも仮定の上で、人間とほぼ同等の知性と悟性を持つようになったとしても、それはやっぱり人間が作ったものなんですよ。人間は神となっても良いのだろうか、みたいな事かもしれません。
- ネコ
- なるほど。うん。AIにとっては人間が創造主なんだけど。
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- 人間は彼らAIに対してテストしないといけないのかもしれませんね。今のスピードなら、50年以内にはAIに対してインタビューすることがあるかもしれませんね。
- ネコ
- 僕が今思っているのは、今の段階では、AIとヒトは明確に違うところが一つある。で、それがないと生命としては難しいと思うんだけど。それは、アホらしいぐらいシンプルなこと。
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- マジすか。
- ネコ
- 逆にいえば、これがあったらAIは生命に一歩近づくのかもしれない。と、まあここは、あえて黙ってみます。皆さんはどう思っているんだろう。教えて欲しいです。
ただ、聴きたい
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- 何がご自身を舞台に向かわせているのですか?
- ネコ
- 自分でもまだ明確にはわからないです。
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- 今日のインタビューはそろそろ終わりますが、何かお話になっておきたかったことはありますか?
- ネコ
- 僕は色々な影響を受けて今がある感じがするので、もっとたくさんの人と対話がしたいですね。人の話を聞くのが好きなんです。真面目な話だけじゃなくてバカな話も。むしろそっちが好きかな。これからも色々な人に揺り動かされながら生きていきたいなと思ってます。なので、見た目は「何考えてるかわからない」ってよくいわれますけど、怖い人間ではないので。気軽に声かけてもらって仲良くなって欲しいです。
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- ありがとうございます。今後どんな感じで行かれますか?
- ネコ
- よいとなが10月にイベント に参加するのでそれを頑張るのと、出演した映画がいくつか公開になるので、もしよかったら見て欲しいなと思います。今後も変わらず演じたり踊ったりを、面白いなーと思ったりわからないなと思ったりしながら続けていくんじゃないかなと思います。
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- ネコさんのダンスはもっと観たいです。
- ネコ
- 今は自分で作るより、なるべく人の振り付けで踊りたいんですよね僕。
少し怪しい祭り実行委員会『少し怪しい祭り』
演劇×人形劇×マイム──異なる表現形式による3つの作品 尾上一樹、アメリカ帰国後初となる自主企画公演。人形劇(JIJO)/演劇(よいとな)/マイム(尾上一樹)と、3団体の作品をブッキング形式で上演。 【日時】(全5ステージ) 2017年 10月7日(土) 19:00- 10月8日(日) 14:00- / 18:00- 10月9日(月・祝)11:00-★ / 15:00-★ ※開場は各回ともに開演の30分前。 ★9日11:00-、15:00-の回は、開演前にオープニング・アクトがあります。 〔O.A.出演〕D.D.コーヒー 【会場】 あとりえミノムシ 〒602-0807京都府京都市上京区不動前町1-2 Tel & Fax : 075-200-8261 〔Webサイト〕http://at.mino3064.com/ 【アクセス】 ・京都市営地下鉄烏丸線 「鞍馬口」下車、1番出口より徒歩10 分 ・京阪本線「出町柳」駅下車、4番出口より北西へ徒歩約15分 【チケット料金】 (前売、当日とも) 一般 ¥2,000 18歳以下 ¥1,000 ※未就学児の入場はお断りさせて頂きます。 ※人形劇場を会場としていますが、お子さま・親子さま向けとして創作した作品ではありませんので、その旨ご了承ください。 【ご予約・お問い合わせ】 sukoaya@gmail.com(少し怪しい祭り実行委員会) 【ご予約方法】 上記メールアドレス宛に・お名前・希望日時・人数(18歳以下の方はその旨も)をお知らせください。 折り返し、ご確認のメールをお送りします。このメールをもちまして、ご予約完了とさせていただきます。(自動返信ではありませんので、ご返信に少々日数・時間がかかることがあります。) ※お手数ですが、gmailアドレスからのメールを受信できるよう設定をお願いします。 ※座席数に限りがございますので、お早めのご予約をおすすめします。 【CAST】 JIJO 殿井歩 申芳夫 田辺泰信 尾上一樹 仲谷萌 (ニットキャップシアター) 籔本浩一郎 (音楽:アコーディオン) 【STAFF】 照明:木内ひとみ 【参加団体プロフィール】 尾上一樹…いいむろなおき氏主催「マイムラボ・セカンド」1期生。その後渡米し、Corporeal Mimeを学ぶ。 JIJO…人形劇・キグルミパフォーマンス。糸あやつり人形劇団みのむし・人形劇団ココンの作品にもスタッフ&出演中。 よいとな…殿井歩・申芳夫(ネコ・ザ・ポンティ)の両名が立ち上げた演劇ユニット。短編~長編作品まで幅広く展開。 ★twitter@sukoaya でも、3組の最新情報を発信していきます。よろしくおねがいします。 ことなるジャンルの3組による新作を含む短編作品たちを、どうぞおみのがしなく!
チェックのハンカチ
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- 今日はお話を伺いたお礼にプレゼントがあります。大したものではありませんが、よろしければお開けください。
- ネコ
- ありがとうございます。ドキドキしますね。(開ける)おっ、ハンカチ。ナイスタイミングですね。僕は雑いので、ハンカチを持ってなかったんですけど、イースタンプロミスという映画を見てからハンカチを持とうと思ってたんです。誰かにツバを吐きかけられた時に使えるように(笑い)。使わせていただきます。
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- どんなシーンでも使えるものを選んだつもりです。もしよければ。